三重課税はNISAでも不可避~無分配のファンドも対象~

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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

二重課税とは

米国株式(S&P500)や全世界株式に投資するにあたって切っても切れないものに二重課税(三重課税)問題があります。

これは、外国株式の配当金に対して現地での課税(外国税(米国なら10%))が行われた後に、国内での課税(20.315%)が行われる、というものです。

本来(国内株式の配当金)なら、税金は20.315%だけですが、外国株式だと 1 -(1 – 0.10)×(1 – 0.20315) = 0.282835(28.2835%)も掛かってしまいます。

そのため、確定申告によって(外国税で支払った分(全てではないですが))、国内の課税を減らす(還付する)という制度(外国税額控除)が用意されています。

2020年から、 MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)や iシェアーズS&P500米国株ETF(1655)といった東証上場ETFなどでは、自動的に調整して源泉徴収してくれる制度(二重課税調整制度)も始まりました。
(海外の個別株やETFに投資する場合は依然、確定申告の必要があります)。

二重課税を取り戻す方法~配当控除・外国税額控除~

ちなみに売却益には外国税は掛かからないため、二重課税も無いのですが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)といった無分配のインデックスファンドも例外ではありません

無分配であっても内部で個別株やETFを買い付けて、それが配当金(分配金)を出した場合は外国税が掛かり、税引後のお金を再投資しています。

そのお金が投資家に直接渡ることは無く、再投資した分は基準価額の上昇(による売却益)という形で間接的に返ってきて、ここで国内の売却益に対する税金(配当と同じ20.315%)が掛かってきますが、

(実質は二重課税ですが)直接的には二重課税ではないため、外国税額控除は出来ません。

つまり東証上場ETFなら自動的に控除、海外個別株や海外ETFなら確定申告すれば控除可能ですが、無分配のファンドは控除不可能、というわけです。
(ETFには二重課税以外のデメリットもあるため、必ずしも良いという訳ではありません)

投資信託 vs ETF~どちらがお得か?徹底比較~

一部控除できる代わりに先払い、控除不可の代わりに後払いが可能(運用に回せる)というメリットデメリットがあるんだね

三重課税について

これに対して三重課税というのは、米国のETFを通して(米国以外の)第三国に投資した場合に掛かるものです。

当然ながら、米国以外の国にも税金(外国税)はありますから、例えばイギリスの株に投資をする米国ETFを買った場合、

イギリスの株から配当金が出て(イギリスの税金が引かれる)、米国のETFから分配金が出て(米国の税金が引かれる)、それを受け取る時に国内(日本)の税金が引かれる、という三重で税金が引かれる状態になります。

一般的にこれで問題になるのはVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)などのいわゆる全世界株式のETF(もしくはそれを内部で買い付けているファンド)でしょう。

しかし、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))の場合、内部で個別株を買い付けている(間に米国を挟んでいない)ため、実はこの三重課税とは無縁だったりします(二重課税はありますが)。

ただ信託報酬が安いだけではなく、従来の全世界株式インデックスファンドとは一線を画す仕組みがあったのです。

三重課税問題について~全世界株の落とし穴~

蛇足ですが、ここで言う外国税とは租税条約に定める限度税率のことで、各国の国内で投資した場合に掛かる税金とは違い、大体が10%(まれに15%)で固定になっているようです。

○ 課税関係の安定(法的安定性の確保)・二重課税の除去

源泉地国(所得が生ずる国)において課税することができる範囲の確定

- 事業利得に対しては、源泉地国に所在する支店等(恒久的施設)の活動により得た利得のみに課税

- 投資所得(配当、利子、使用料)に対しては、源泉地国での税率の上限(免税を含む)を設定

居住地国における二重課税の除去方法

- 国外所得免除方式又は外国税額控除方式

税務当局間の相互協議(仲裁を含む)による条約に適合しない課税の解消

租税条約に関する資料 : 財務省

ちなみに、本来の税金はこんな感じです。

主要国における配当課税の概要

S&P500だとeMAXIS Slim以外にもSBI・Vとか他にも選択肢があるのに、全世界株式=オルカンみたいになっているのはそういう理由もあったのね

NISAと二重(三重)課税の関係

ではNISAの場合はどうなるのか、というと、あくまで国内の非課税制度であるため、米国(もしくは第三国)の課税は発生します。

その上で、国内は非課税なわけですから、そもそも二重課税になっていないので、外国税額控除は不可能(払った外国税は取り戻せない)です。

しかし、悲観することはありません。

  • 二重課税(控除なし):約28.3%
  • 二重課税(控除あり):20.315%(実際はこれより少し上回る)
  • 三重課税(控除なし):約35.5%
  • 三重課税(控除あり):29.315%(米国と第三国間の二重課税分は控除不可)
  • NISA(控除不可)   :10% ~ 19%

課税口座で外国税額控除をした所で、少なくとも20.315%を下回ることはありませんから、外国税(おおむね10%)だけが掛かるNISAの方がよっぽど少ないです。

これは三重課税(1 -(1 – 0.10)×(1 – 0.10) = 0.19(19%))であっても同様です。
(実際は全世界株式には米国部分もあるため、二重課税と三重課税の混合になる)

とは言え、非課税制度なのに10%~19%も税金が掛かるのは解せないというのはあります。

しかし、これはあくまで配当金の話(売却益には外国税は発生しない)ですから、そもそも(構成銘柄の)株自体が配当金をあまり出さなければ影響は少ないです。

バークシャー・ハサウェイが無配当なのは有名ですが、それ以外でもGAFAMを始めとした成長企業は一般的に配当利回りが低めです。

そして、S&P500や全世界株式などの特に条件を設けない時価加重平均型であれば、おのずとそういった企業がメインになるため、全体で見ても低くなると思います。
(実際、直近の配当利回りもVOO(S&P500)は1.58%、VT(全世界)でも1.98%です)

たとえ全てが三重課税の対象(19%)だとしても、それが掛かるのが2%の部分だけなら、全体から見たら3.8%ということになります。

S&P500や全世界株式なら実質ほとんど掛からないようなものね

配当貴族・配当王などには要注意

ただし、要注意なのが配当貴族・配当王・配当公爵などと言った、連続増配株をピックアップした指数に連動するファンドです。

具体的には、Tracers S&P500 配当貴族インデックス(米国株式)や iFreePlus 米国配当王(資産成長型・年4回決算型) などが有名ですが、

これらはファインド自体が分配金を出す・出さない(内部で再投資)に関わらず、内部で保有している株が配当金を多く出す傾向にあるため(そういう株を集めているので当然ですが)、二重課税や三重課税の影響を受ける部分がそれだけ多くなります。

そして、これはNISAを使っても不可避である、ということを忘れてはなりません。
(厳密には二重課税ではなく外国税単体、三重課税ではなく 外国税 × 2 の部分が残る)

当然ですが、投資ですからリターン次第では結果的に税金を加味してもS&P500や全世界株式より良かった、となる可能性はありますが、

信託報酬と同様、(株価は下がっても構成銘柄全てが無配になるのはまずあり得ないため)リターンに関わらず確実に掛かるコストとして頭に入れておいた方が良いかと思います。

先ほどの オルカン vs 他の全世界株式インデックスファンド じゃないですが、S&P500や全世界株式自体が人気なのにも理由がある、というわけです。

これを、ただ人気があるから選ぶ、ではなくその理由はなぜなのか、までしっかり理解をしておくことで、握力もより高まるんじゃないかと思います。

ダイエットと同じで、何より継続が大事だからね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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