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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
三重課税とは
今回は以前に紹介した「真の」隠れコストの要因の1つとなっている三重課税についてお話したいと思います。
投資信託の隠れコストとは~運用報告書に載らない「真の」隠れコストも~
投資信託の表のコストとしては信託報酬(購入時手数料と信託財産留保額もありますが有名なものは大抵無料なので割愛)が知られていて、
いわゆる隠れコストとは運用報告書に記載されるそれ以外のコストの事ですが、これ以外にもコスト(運用報告書にも記載されない真の隠れコスト)は存在する、というお話でした。
二重課税については以前もお話しましたが、こちらの外国税に関して、
実は、米国ETFを通して米国以外の企業に投資をした場合、企業からの配当金に対して三重課税が行われてしまうのです。
からくりとしては、企業がある国で課税(税率は国による)→ETFを運用している米国で課税(10%)→住んでいる日本で課税(20%)です。
(簡略化のため、日本の復興特別所得税額 0.315%は割愛します)
ですので、企業がある国の税率が10%だった場合、単純計算で税金は配当金の35.2%(1 - (0.9 × 0.9 × 0.8))と言う事になり、本来の(日本の企業に投資した場合の)20%と比べて、15.2%も多く税金がかかるのです。
35.2%ってかなりの税率ね
外国税額控除でも取り戻せない!?
しかし、外国税の場合、確定申告を行って(日本の投資信託orETFの場合は自動で)外国税額控除制度が適用されれば多く払った分は取り戻せるはずです。
ですが、実は外国税額控除制度が適用されるのは二重課税の部分までなのです。
上記の例で言うと、二重課税の場合、配当金の税率は28%(1 - (0.9 × 0.8))で、本来の税率(20%)より多い分(8%)が控除されるのですが、
三重課税(企業がある国の税率が10%)の場合は、米国で課税された部分である 7.2%(8 × 0.9)しか控除されないため、外国税額控除制度適用後の税率でも 28%(35.2 – 7.2)となり、8%も多く税金がかかる状態です。
しかし、これは投資対象が全て米国以外(新興国ETFであるVWOなど)の場合で、全世界ETF(VTなど)の場合、話は少し変わってきます。
VTを例にすると、(時価総額によって変動しますが)現在の中身はおよそ米国企業が55%、それ以外が45%となっているため、
単純計算で税率は(米国28%、それ以外35.2%で)平均化されてトータルで約31.2%(0.28 × 0.55+0.352 × 0.45)となり、外国税額控除制度適用後は約23.6%(31.2 – (8 × 0.55 + 7.2 × 0.45))となるのですが、
実際は配当金の比率では上記よりも米国以外が大きかったり、税率が10%以上の国もあったりで、年次レポートから実際の税率を計算すると24.5%~25.0%程度になるそうです。
全世界株でも米国以外の部分が三重課税になっちゃうんだね
全世界株のコスト
ですので、本来の税率より4.5%~5.0%程度高くなる、という事になるのですが、これはあくまで配当金に対して、です。
現在、VTの配当金利回りは約2%ですので、投資金額から見た割合では0.09%~0.10%となり、これが三重課税による(毎年かかる)コストという事になります。
こう見ると大したコストのようには見えないのですが、最近では0.1%単位の信託報酬でしのぎを削っている事を考えると、無視は出来ないと思います。
ちなみに、この三重課税によるコストは、(米国以外に投資する)ETFを直接買う場合以外にも、内部でETFを買っている投資信託でも掛かってきます。
本来、日本の投資信託であれば2020年以降、二重課税は自動調整されるようになっているのですが、三重課税の部分はそもそも外国税額控除の対象外のため、調整後も残ってしまうのです。
では、具体的にどの投資信託がこれに該当するのでしょうか。
以前に紹介したおすすめの低コスト投資信託(全世界株式)は、
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- たわらノーロード 全世界株式
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(SBI・V・全世界株式)
の5つがあります。
このうち、「雪だるま(全世界株式)」「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」「SBI・V・全世界株式」の3つがETFを買っているファンドになります。
(ただし、後者2つがVTのみを買っているのに対して、雪だるま(全世界株式)はVTI・SPDW・SPEMの3つを買っている(VTIは米国のみのため三重課税が発生しない)ため、少し状況が違います)
かなり有名な投資信託もこの問題を抱えているのね
三重課税問題が発生しない全世界株ファンド
では、残りの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「たわらノーロード 全世界株式」はと言うと、ETFではなく個別株を買っているため(現物株運用)、三重課税問題は発生しないのです。
(ただし、「たわらノーロード 全世界株式」は他の隠れコストが0.15%程度と高め)
なぜ三重課税になるのかと言うと、間に米国が挟まっているからであって、直接企業(がある国)に投資すれば二重(外国税額控除で取り戻せる範囲)で済むのです。
そして、その外国税額控除も日本の投資信託であれば自動的に行われるため、何もしなくても(二重課税関連では)余計なコストは掛からない、という事になります。
ただし、現物株運用の場合、数千もの銘柄で1株単位の価格で売買する関係上、(誤差が積み重なって)連動を目指す指数から乖離しやすい、というデメリットがあるのですが、これらのファンドの規模から考えると、それほど気にしなくて良さそうです。
もともと実質コストが安い上に、他のファンドは実質、0.1%程度上乗せされると考えると全世界株は「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」の一強と言えるのかも知れません。
厳密に言うと、一口に全世界株式と言っても「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」と「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」の2種類に連動するファンドがあり、
後者には小型株が含まれる(前者は含まれない)という違いがあってVT(に連動する投資信託)はこちらに当たるのですが、時価総額加重平均である事から、(含まれていたとしても)小型株の割合はわずかであり、
及ぼす影響は知れていると思います(例え小型株の株価が10倍になっても全体に占める割合が1%だと1.1倍にしかならない)。
しかも、どうしても小型株を含めたいのであれば小型株のファンドを別に買えば良いだけですし、むしろ含んでいない方が自由度は高い(入っているものを除外する事は出来ないため)と言えます。
投資信託とETFでは、投資信託の方が再投資の効率が良い、ETFの方がコストが安い、というメリットがあるのですが、
こと全世界株式においては、三重課税によってETFのメリットである安いコストが上がってしまい、より投資信託の方が有利、という事になりそうです。
現物株運用の低コストファンドももっと増えて欲しいね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️