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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
海外の配当金
前回、投資での税金についてお話しましたが、
実はこの税金、二重課税になっている場合があるのです。
二重課税とは、一つの課税原因に関して、同種の租税が2回以上課される状態を言うのですが、
要するに、とある税金を差し引いた後のお金に対して、さらに一定の税率で税金がかかる場合があるのです。
特に、投資の世界で有名なのは、外国税です。
下記のように海外の株から出る配当金にはその国の税金がかかり、配当金を受け取る時には自動的に差し引かれています。
株の種類 | 税率 |
---|---|
米国株(ETF含む)・イギリス株・フランス株 | 10% |
ドイツ株・ロシア株・韓国株 | 15% |
香港株・ベトナム株・シンガポール株 | なし |
中国株 | 10% or なし(会社による) |
ですが、日本でこれらの株を購入し、確定申告(源泉徴収)するとさらに配当課税で20.315%(所得税15.315%+住民税5%)がかかるのです。
例えば米国株を買ってそこからの配当金が100万円出た場合、実際に手元に残るのは、
100 × 0.9(米国の税金) × 0.79685(日本の税金)=71万7,165円
(結果、トータルで28万2,835円(28.2835%)も税金がかかっている)
になるのです。
ちなみにこれは分配金についても同様で、分配金と配当金の違いは、「投資信託の運用会社」により支払われるものを分配金、「株式を発行した企業」により支払われるものを配当金と、支払をする主体によって呼び名が変わるだけで、考え方は同じです。
投資信託の場合、税率は投資先が何であるかによって決まり、米国株100%なら米国個別株と同様に10%ですし、米国株50%・香港株50%であれば米国株50%に対してだけ10%かかる(香港株50%にはかからない)ので、0.5 × 0.1=0.05、つまり5%になるのです。
分配金と配当金はほぼ同じものと考えて良さそうね
配当控除
実はこの二重課税、海外株(外国税)だけではなく、日本株にもあるのです。
その正体は、法人税です。
日本では会社で利益が出ると法人税がかかり、それを差し引いた後のお金(の一部)を配当金として株主に還元するようになっており、
これも(払う人は違えど)国から見れば同じ利益に対して、法人税+配当課税、で二重取りをしている事になるのです。
これは国も認識していて、さすがに可哀想(?)という事で、配当課税の一部を控除してくれる制度があり、それが配当控除です。
ちなみにこれは外国税による二重課税に対しても存在し、こちらは外国税額控除と言います。
これらに共通するのは、自分で申告(確定申告)しなければならない、という事です。
証券会社で開設できる口座には大きく分けて、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があり、
「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば税金が勝手に引かれて確定申告しなくても良いのですが、二重課税されている状態ですので、(それが嫌なら)確定申告を行って二重課税分を取り戻す必要があります。
特にもともと確定申告していなかった会社員などにとっては増える手間も大きいね
課税方法
配当金や分配金を確定申告する際、申告分離課税と総合課税が選べます。
申告分離課税は先ほどの、特定口座(源泉徴収あり)で引かれる税率と同様、所得にかかわらず一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)で、
総合課税では、他の所得と合わせて累進課税(課税所得が多ければ多いほど税率が増える)になります。
ここで注意なのは、申告分離課税を選択すると、配当控除を受けられない(外国税額控除は受けられる)という事です。
つまり、配当控除を受けるためには、総合課税を選択する必要があり、そうすると税率も変わるため、(配当控除だけではなく)トータルの税金を計算する必要があるのです。
配当控除は、年間の課税所得が1000万円以下であれば12.8%(所得税10%+住民税2.8%)(1000万円超なら6.4%(所得税5%+住民税1.4%))なのですが、
この12.8%の控除を受けるために、(20%だった税金が)20%+12.8%=32.8% 以上になってしまっては元も子もないため、計算上(所得税+住民税が33%以上になる)課税所得が695万円以上の人は配当控除を受けない方が良い、という事になります。
総合課税のデメリットと住民税申告不要制度
さらに、これはあくまで控除なので、(他の控除と合わせて)限度額があり、必ずしも全額戻ってくるとは限らないのです。
特に、住宅ローン控除やふるさと納税など、大きな控除がすでにある人は限度額にひっかかりやすいので要注意です。
そしてさらに、注意が必要なのは、所得に応じて料金が決まるものは、確定申告をすると(配当所得が算定基礎となる所得に含まれて)料金が上がる、という事です。
例えば、(個人事業主や定年退職をした方などの)国民健康保険料・介護保険料や、子どもの保育料などです。
また、所得が増える事で(ギリギリで調整していた場合は特に)扶養から外れてしまう可能性もあります。
これらは、申告分離課税を選択しても総合課税を選択しても同じですので、外国税額控除をするかどうかの選択にも関わってきます。
実は、これらのデメリットは住民税申告不要制度というものを使用し、所得税だけを確定申告(総合課税)して、住民税は確定申告なし(特定口座(源泉徴収あり))とする事で解消でき、
さらに住民税の税率も配当控除込みで7.2%(10%-2.8%)だったのが5%で済む、という裏技があるのですが、日本株の配当金だけでFIRE生活している人が所得税と社会保険料を(低所得者扱いで)限りなくゼロに近い額に出来てしまうという問題もあり、
残念ながら2024年(2023年分の確定申告)からは廃止になる事が決定してしまいました。
2022年分がラストなのね
外国税控除はしなくて良くなった!?
しかし、外国税額控除については2020年1月、個人投資家にとっては嬉しい税制改正が行われたのです。
それは、ざっくり言うと、外国税が引かれている前提で国内の配当課税を計算するようになった、という事です。
細かい条件は色々ありますが、一般的によく買われている全米株や全世界株の投資信託やETFであれば、証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておけば、
勝手に二重課税にならないように調整して課税してくれて、確定申告する必要がない(国民健康保険料などが上がるリスクも無い)のです。
しかし、所得控除(法人税と配当課税の二重課税の是正)についてはこのような制度は今のところ無く、取り戻すには確定申告(しかも総合課税を選択)しなければならず、
海外株についてはもともと所得控除の対象外(そもそも二重課税になっていない)ため、税制面から考えてもやはり日本株より海外株が良い、となります。
複雑な計算をしなくても税金を最小に抑えてくれる、というのは精神的にも良いね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️