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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
インフレリスクと為替リスク
将来設計をするにあたって、これからの日本では(デフレを脱却したのであれば)インフレを加味する必要があるのですが、イメージが湧きにくいと思いますので実際の数字でシミュレーションしてみたいと思います。
これまでの考え方では、4%ルールを基に、例えば生活費が月30万円の人は、30万円 × 12 / 0.04 = 9,000万円の資産があればFIREを達成できる、というのがセオリーでした。
確かにこの4%ルールというのはインフレも加味された(米国株式市場の成長率7%とインフレ率3%の差に基づいている)数字なのですが、あくまでも米ドルベース(米ドルで生活する前提)であり、
日本円を一定額受け取るなら為替変動の影響も受けるため、順序リスク(取り崩しの後半に価額が下がるよりも序盤に下がった方が資産の寿命が縮まる)を考慮すると、
取り崩し初期に株価が下がることを織り込んだ米ドルベースの4%ルールは、日本円ベースでは取り崩し初期に株安&円高がダブルで来た場合も想定しなければならず、もっと低い数字になるはずです。
ですが、これまでの日本はデフレ(もしくはディスインフレ)であったため、インフレの方は考慮する必要がなく、ちょうどインフレリスクと為替リスクが打ち消し合うような形で、結果的に日本でも4%ルールが実現できていたようなイメージです。
しかし、これからはインフレも考慮する必要があるとすると、この4%という数字も下げざるを得なくなるかも知れません。
例えば3%と想定すると、先ほどの月30万円の例だとFIREには、30万円 × 12 / 0.03 = 1.2億円の資産が必要、ということになります。
大台に乗って一気にハードルが上がった気がするわね
FIRE達成ラインは変動する
しかも、この1.2億円もあくまで今の価値での1.2億円ですから、(インフレを考慮すると)10年後や20年後に1.2億円で良いわけではありません。
全ての物価が上がると考えると、今の生活費が月30万円でも、10年後や20年後に今と全く同じ生活を送るために必要なお金は30万円では済まないのです。
例えばインフレ率が3%であれば、10年後は約34%(1.03 ^ 10 = 1.3439…)、20年後は約81%(1.03 ^ 10 = 1.8061…)、30年後は約143%(1.03 ^ 30 = 2.4272…)アップしていることになります。
つまり、10年後にFIREするなら約1.6億円、20年後なら約2.2億円、30年後なら約2.9億円が必要ということです。
S&P500の過去20年の平均リターンが約7%、過去10年では10%を超えますが、この10年がたまたま絶好調だっただけでこれが今後も続くとは考えにくいとする意見が多数ですから、今後の平均リターンを良く見積もって6%としてもこれだけの積立金額が必要です。
積立期間30年でも毎月の生活費が30万円の人が29万円(収入のほぼ半分)を積み立てる必要があるわけですから、かなりハードルが高いですね。
生活費が月30万円の人が15万円に切り詰めて、FIRE後も月15万円で良いなら同じだけど、どちらにせよ厳しいね
積立金額も少しずつ増やす必要あり
ですが、このシミュレーションも実は正確ではありません。
その理由は、積み立て中も少しずつインフレが進んでいくからです。
毎月の積立金額が30万円と言っても、今の30万円と10年後・20年後の30万円とでは価値が違いますし、捻出する難易度も違います。
例えば、毎月の手取り収入が50万円で生活費が30万円だった場合、投資に回せるお金は20万円ですが、インフレでそれぞれが2倍(収入が100万円で生活費が60万円)になったら、投資に回せるお金は40万円になります。
このことも含めて正確にシミュレーションするのであれば、このように利回り(上記の例だと6%)からインフレ率(上記の例だと3%)を引いた数字(3%)を利回りとして、現時点でのFIRE達成ライン(上記の例だと1.2億円)を目標にすると良いです。
運用利回りもインフレ率もどちらも複利なので単純に相殺できるからです。
こうしてみると、実際の積立金額は先ほどよりは少なくて済むことが分かります。
ただし、この21万円(積立期間30年の場合)というのは、あくまで今の価値での21万円ですから、インフレに合わせて積立金額を少しずつ増やすのが前提です。
積み立て設定してずっと放置というわけにはいかないのね
インフレでも動かないもの
しかし、インフレで物価が上がると同時に収入が増えれば問題ないのですが、金額が固定であるが故にインフレによって(相対的に)価値が下がってしまうものもあります。
新NISAの生涯投資枠(1,800万円)もそのひとつです。
同じ10年でも、2024年から2033年にかけて積み立てた1,800万円と、2034年から2043年にかけて積み立てた1,800万円とでは価値が違いますし、
同じ2024年スタートで、10年かけて積み立てるのと、20年かけて積み立てるのでも前者の方が有利になります。
ただし、1,800万円を積み立て終わった後に関しては、インフレ分も込みで膨らんでくれるので気にしなくても良いです。
そういう意味ではiDeCoの退職所得控除(現在は1年あたり40万円(20年を超えると70万円))も固定の金額なので同様なのですが、
NISAとは違って、控除は国民全員に関係して生活に直結するものなので、おそらくインフレが進めば(基礎控除や給与所得控除などと合わせて)見直しが入ると思います。
ですが、そもそもiDeCoは拠出時の控除(小規模企業共済等掛金控除)が「現在の」税制で行われているわけですから、先送りするならインフレで膨らんだ分も考慮して支払うのがある意味本来あるべき姿で、こういった税制改正はiDeCoの追い風になりそうです。
とは言え、掛金の限度額(企業年金が無い会社員は2.3万円、個人事業主は6.8万円)も固定ですからNISAと同様にインフレで実質の枠が小さくなることに変わりはありません。
これは控除と違って国民の手取り収入に直結するものではないので、見直しの優先順位的には低いと思われます(NISAは600万円(一般NISA)or 800万円(つみたてNISA)から1,800万円(新NISA)に一気に拡張した後なのでなおさら)。
インフレを見込んでこれだけ拡張していたと言われると文句も言えないね
インフレに備えてやるべきこと
そうなると、これからどうしたら良いのか、という話になるのですが、(月並みですが)NISAもiDeCoもフル活用する、というのが答えでしょう。
例えば現時点で、1,800万円まで届かなそうだからNISAだけでいいや、と思っている人も、たとえ今後、収入も生活水準も今と全く変わらなかったとしても、インフレ次第では1,800万円を超えて課税口座に入れざるを得なくなる可能性は十分にあります。
いざ、そうなってからiDeCoを始めようと思っても、月2.3万円ずつしか入れられません。
それならば、今のうちから(NISAの積立金額を減らしてでも)NISAとiDeCoを同時並行で進めて、NISAの枠が減るスピードを抑えつつ(今の価値の)2.3万円をiDeCoに投入した方が良いかと思います。
もちろん、積立額が月3万円の人が、そのうちの2.3万円をロックするのは危険かも知れませんが、積立額が5万円・10万円と増えるにしたがってそのリスクも薄れていくことでしょう。
制度がより良い方向に改正されることを願いつつ(投票はしつつ)、出来る範囲でベストは尽くしたいですね。
「今」と「将来」をどう割り振るかも大事ね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️