相続税は減税に!?~新しい相続時精算課税制度~

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

生前贈与を活用した節税とは

昨年末ころ、相続税・贈与税のルール変更が話題になりました。

それは、2024年から生前贈与の加算期間が3年→7年に延長される、というものです。

生前贈与とは、存命中に財産を他者に贈与することで、その分は相続の対象にならない(相続税が掛からない)、ということで、相続税の節税策として鉄板の方法でした。

贈与にも税金(贈与税)が掛かるのですが、(もらう側1人あたりにつき)年間110万円の基礎控除があり、それを超えた分に税率を乗じて計算するようになっているため、

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
基礎控除後の課税価格200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円
<一般贈与財産用>(一般税率)

毎年1人あたり110万円以下ずつ贈与すれば、贈与税は全く掛かりません。

つまり、例えば子供2人に対して、毎年110万円を10年間、贈与すれば合計2,200万円(110 × 10 × 2)を相続税の対象から除外することができます。

その後、相続(死亡)した時、相続財産が1億円だとすると、相続税は770万円ですが、7800万円まで減った場合は440万円となり、差額の330万円が節税できることになります。

しかし、これでは公平性を欠く、ということで相続(死亡)の3年前から贈与した分については、相続財産に含めて相続税が課税されるようになりました(「相続税の持ち戻し」と言います)。

No.4152 相続税の計算|国税庁

この「3年」というのが改正され、来年からは「7年」になるのです。
(先ほどの例では相続財産は2,200万円ではなく、660万円しか減らせないことになります)

7年なんて、余命宣告が出てから贈与できるレベルじゃないし、やりすぎな気もするわね

相続時精算課税制度とは

これだけ見ると、ただの増税でしか無いのですが、それを全て帳消しにして、さらに今までよりも減税になるような制度改正も行われることになりました。

それは、相続時精算課税制度の見直し、です。

先ほどの、1年ごとに110万円を超えた分に対して、その金額に応じた税率を掛けて課税される制度を暦年課税(暦年贈与)と言うのですが、(あまり知られていませんが)それ以外にもう一つ、(贈与者ごとに)相続時精算課税という制度を選択することも出来ます。

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。

その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。

No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

こちらは、(1年ではなく、その人からの贈与額の一生分の合計が)2,500万円までは非課税で、超えた分は一律20%の税金がかかる、というものです。

ただし、この制度を選択するには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に申告書を提出する必要があり、その年分以降すべてにこの制度が適用され、暦年贈与に戻すことは出来ません。

しかも、この制度を利用して贈与を行った分は、(3年・7年以内などの縛りもなく)全てが相続財産に加えられます(相続税の対象になります)。

まさに誰得な制度で、だからこそ認知度が低かったのです。

そんな相続時精算課税制度なのですが、今回の改正で大化けすることになります。

贈与税は2つの制度から選択が出来るんだね

最強の節税術が爆誕

その内容とは、2024年から、これまでの控除(特別控除)の2,500万円とは別に、年間110万円の基礎控除が追加される、というものです。

ですので、10年に分けて贈与した場合、2,500 + 110 × 10 = 3,600万円 まで贈与税が掛からなくなります。

さらに、この年間110万円に関しては、相続財産に加えられない(相続税の対象にならない)のです。

さらにさらに、暦年贈与(暦年課税)と違って、相続の7年以内は無効、という縛りもなく、(年間110万円以内なら)極論、死ぬ前日に贈与したものにも相続税がかからない、ということになります。

当然、年間110万円を超えたものに関しては(合計2,500万円以内でも)相続税は発生しますが、これは暦年贈与であっても同じ(贈与税として払うか、相続税として払うかの差だけ)なので、

実質、相続時精算課税制度は、暦年贈与の上位互換になる、と言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、贈与税を払った場合、その分は相続税からは差し引かれる(相殺される)ようになっているため、贈与額の合計が仮に 2,500万円(+110万円 × 年数)を超えたとしても、二重課税になる心配はありません。

この新しい相続時精算課税制度を使うことによって、相続(死亡)の7年以内の持ち戻しが無くなる、というメリットは確かに大きいのですが、

それ以外にも2,500万円までなら(本来、贈与税が掛かる部分も)相続税に回せる、というだけでも馬鹿に出来ないかと思います。

(例え同じ金額であったとしても)税金の支払いを後ろ倒しに出来る、というだけでも(その分も運用に回して増やした後に元本だけ払えば良い、という)メリットがあるのです。
(iDeCoのメリット(所得控除の代わりに受け取り時に課税)と同じです)

さらに、(これは改正前からですが)相続時精算課税制度を使って、相続財産と合算される贈与財産の価額は、「贈与時の価額」となっているため、

インデックスファンドのように、(長期で見れば)基本的に価額が右肩上がりになるような資産であれば、贈与~相続の間で上がった分、(相続時の価額で評価されるよりも)お得、ということになります。

3重でお得な制度になるんだね

まとめ

とは言え、暦年贈与(暦年課税)を選んだとしても、相続時精算課税を選んだとしても、相続税には基礎控除があります。

課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

= 課税遺産総額

No.4152 相続税の計算|国税庁

例えば、法定相続人が3人(配偶者と子供2人)だった場合、どちらにせよ(7年前までの贈与が加算されたとしても)合計4,800万円までは相続税は掛かりません

ですので、生前贈与自体、世間一般にはあまり興味を持たれない(なのでニュースなどでもあまり取り上げられない)内容になります。

また、この相続時精算課税なのですが、贈与者が60歳以上、かつ受贈者が18歳以上、という条件があるため、未成年口座への入金に使うことはできません。

未成年口座について~ジュニアNISA廃止後も非課税~

しかし、(FIREを目指す場合は特に)これから資産形成を行っていくにあたっては、こういった情報も頭の片隅に置いておいた方が良いかと思います。

いざ、4%ルールで生活出来るような資産を築いて実践した場合、死ぬ時にはおそらく相続税が掛かるくらいの資産は残ることになります。

せっかく、ふるさと納税やNISA、iDeCoなどで賢く節税しながら蓄財したのですから、最後までお得な方法は逃さないようにしたいところです。

親からの遺産が多い場合だけじゃないのね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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