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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
玉石混交のオルカン
少し前までは、全世界株と言えば eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、略してオルカンでしたが、ここ数ヶ月の間に次々と似たような名前のファンドが登場しました。
eMAXIS Slim を意識したような、全く同じ信託報酬や、さらに安く設定されているものもあり、同じ全世界株式なのであれば良い気がしますが、結論から言うと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」にしておいた方が無難かと思います。
理由は、運用期間(設定日からの経過期間)が短い(特に1年未満)のものは特に隠れコストが分かりにくい、というのと、内部でETFを買っているものは三重課税が(NISAでも)避けられないからです。
具体的にはこのようなファンドです。
ファンド名称 | 信託報酬 | 設定日 | 三重課税なし |
---|---|---|---|
SMT iPlus 全世界株式 (つみたてインデックスプラス ・オール・カントリー) | 0.055% + 実績報酬 | 2023年11月27日 | 〇 |
楽天・オールカントリー株式 インデックス・ファンド (楽天・オールカントリー) | 0.0561% | 2023年10月27日 | 〇 |
はじめてのNISA・ 全世界株式インデックス (オール・カントリー) | 0.05775% | 2023年7月10日 | 〇 |
Tracers MSCIオール・ カントリー・インデックス (全世界株式) | 0.05775% | 2023年04月26日 | 〇 |
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | 0.05775% | 2018年10月31日 | 〇 |
SBI・全世界株式 インデックス・ファンド (雪だるま(全世界株式)) | 0.1102% | 2017年12月6日 | ✕ |
たわらノーロード 全世界株式 | 0.1133% | 2019年7月22日 | 〇 |
SBI・V・全世界株式 インデックス・ファンド | 0.1338% | 2022年1月31日 | ✕ |
楽天・全世界株式 インデックス・ファンド (楽天・VT) | 0.192% | 2017年9月29日 | ✕ |
この中で、設定日から1年以上が経過していて、かつ内部でETFを買っていないファンドは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「たわらノーロード 全世界株式」の2つだけですが、信託報酬を考えると実質、前者一択だと思います。
ちなみに、この表で三重課税なし(内部でETFを買っていない)が「〇」となっているものは、MSCIオール・カントリー・ワールド・ インデックス(MSCI ACWI)に連動、
「✕」となっているものは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE GACI)に連動となっています。
この、「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」はどちらも全世界株式に変わりはないのですが、大きな違いは(時価総額が小さい)小型株を含むどうか、です。
前者は大型株と中型株のみに投資をして構成銘柄は約3,000ですが、後者は小型株にも投資をして約8,000銘柄にもなります。
目指す指数としては、より分散が効いている「FTSE GACI」の方が良さそう、ということで選ぶと三重課税の憂き目を見る、というわけです。
(ファンドが個別株投資をするにあたって、小型株まで含めると管理が大変ということで「MSCI ACWI」を選んでいるのかも知れません)
分散なら「MSCI ACWI」の約3,000銘柄で十分、と言われているよ
三重課税と隠れコストについて
では、その三重課税とは何か、というと詳細は過去の記事をご覧いただきたいのですが、
要するに、全世界株式では日本とアメリカ以外の国(第三国)にも投資をするのですが、この時にアメリカが管理するETFなどを挟むと、「第三国で税金が発生 > アメリカで税金が発生 > 日本で税金が発生」と三重に税金が掛かることになります。
(日本のファンドが直接、第三国の個別株を買っていれば、「第三国で税金が発生 > 日本で税金が発生」の二重で済みます)
ちなみに、これは配当金または分配金だけの話で、譲渡益(キャピタルゲイン)には第三国の税金もアメリカの税金も発生しません。
これは、現地の税金が無いという意味ではなく、日本に住む人が買った場合は免除される、という取り決めになっているようです(配当金への税金が、各国ほぼ10%で統一されているのもこのため)。
では、分配金が発生しないファンドなら問題ないのでは?となりそうですが、そうは問屋が卸しません。
ファンドが分配金を出さなくても、内部で持っている個別株から配当金(内部で持っているETFから分配金)は発生しますし、内部で再投資する時に税引後のお金を再投資していることになります(NISAも、日本の税金が非課税になるだけなので関係ありません)。
しかも、具体的にどの部分(何%)が損になっているのかは分からず、運用結果と合わせて価額に反映されているのが厄介なところです。
こういったものも含めて、(見えないところで)価額に反映されているコストというのが、いわゆる隠れコストです。
投資信託の隠れコストとは~運用報告書に載らない「真の」隠れコストも~
この三重課税のように、本当に隠れているものもあれば、ファンドの資料(運用報告書)で公開されるもの(保管費用・監査費用など)もあります。
しかし、この運用報告書は、原則的に投資信託の決算を迎えるごとに作成となっており、インデックスファンドは決算が年1回のものが多いため、設定日から1年未満のファンドは避けておいた方が良いのです。
隠れコストの一部とは言え、運用報告書を見てから買った方が安心ね
低信託報酬の秘密
例えば、先ほどの表で一番、信託報酬が安い「SMT iPlus 全世界株式(つみたてインデックスプラス・オール・カントリー)」ですが、目論見書(これは設定から間もないファンドにもあります)を見てみましょう。
(比較のために、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も載せています)
この投資信託は、日本を含む世界各国の金融商品取引所等に上場している株式(DR(預託証券)を含みます。)を主要投資対象とし、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)を上回る投資成果を目指して運用を行います。
SMT iPlus 全世界株式|三井住友トラスト・アセットマネジメント
●MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマーク(以下「対象インデックス」という場合があります。)とします。
●ファンドの1口当たりの純資産額の変動率を対象インデックスの変動率に一致させることを目的とした運用を行います。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS(イーマクシス)
一見、「一致」よりも「上回る」の方が良さそうに見えますが、指数(つまりインデックスファンド)を上回ることを目指した結果、ほとんどが負けているアクティブファンドと同じ目的です。
でも、アクティブファンドが負ける原因のほとんどは手数料で、これは信託報酬がインデックスより低いんだからいいんじゃないの?(オルカンの 0.05775% に対して、0.055% + 実績報酬(指数より高かった場合のみ(下記参照))、そう思った人も居るかも知れません。
●前四半期の期間(以下「計算対象期間」又は「四半期」)*1における基準価額の騰落率(年率換算)と、同期間のベンチマークの騰落率(年率換算)の差(以下「実績差」)がプラスの場合、その実績差の33%(税抜30%)を実績報酬率とし、計算対象期間の翌四半期に適用します*2。ただし、実績報酬率の上限は、年率1.1%(税抜1.0%)とします。
●実績差がマイナスの場合、及び設定日から各計算対象期間末日までの基準価額の騰落率(年率換算)と、同期間のベンチマークの騰落率(年率換算)の差(以下「累積実績差」)がマイナスの場合は、実績報酬は頂きません。
*1 計算対象期間末日は、3月、6月、9月、12月の最終営業日です。
*2 実績報酬率は、翌計算対象期間の開始月の月初6営業日目の翌日から翌々計算対象期間の開始月の月初6営業日目まで適用します。※設定日から2024年4月8日までは、実績報酬は頂きません。
SMT iPlus 全世界株式|三井住友トラスト・アセットマネジメント
全ての場合でオルカンよりお得になるように見えますが、実際は、実績が下回った場合その補填をしてくれるわけではなく、たったの信託報酬 0.00275% の差のためにそのリスクを負うことになります。
しかも、その実績には隠れコストも含んでいるのです。
最悪、信託報酬の一部を隠れコストに移していた(だから見た目の信託報酬は少ない)だけだったとしても、たまたま実績が悪かっただけ、と言われてしまっては何も言えないでしょう(そもそも指数との一致を目指しておらず、乖離自体は当たり前なので)。
設定日から間もないと、その実績も分からないわね
投信保有ポイントの罠
また、信託報酬が低い、以外にも投信保有ポイント(投信残高ポイント(楽天証券)・投信マイレージ(SBI証券)など、各社で呼び名は違いますが)として、ファンドを持っているだけで定期的にポイントが付与されるというものがあり、
その還元率が高く設定されているファンド、というものも存在します。
しかし、これも最悪、そのポイントの原資は隠れコストだった、という可能性も無きにしも非ずです(真相は最低でも1年は経過しないと分かりません)。
しかも、単純にコストがポイントに変わっただけなら明確に損ではないのですが(お得だと思ったらそうではなかっただけですが)、ポイントが付与されない条件(例えば、iDeCoは楽天証券もSBI証券もポイント付与の対象外)でその商品を買ってしまうと、
コストを負うだけ(ある意味、他人にポイントをあげているだけ)になってしまいます。
iDeCoであれば、隠れコストが判明してからスイッチング(または金融機関の変更)で逃げることも出来ますが、手間を考えると、
iDeCoでオルカンを買うなら、上記の問題を抱える楽天証券(楽天オルカン)や、三重課税問題があるSBI証券(雪だるま(全世界株式))ではなく、「eMAXIS Slim の」オルカンが買えるマネックス証券 iDeCoにしておけば良いかと思います。
また、NISAは実質、乗り換え(売却して再購入)は難しいため、少なくとも設定日から1年も経過していないファンドと、三重課税問題があるファンドは、手を出さない方が無難かと思います。
人気があるから eMAXIS Slim、じゃなくて、なんで他のファンドじゃダメなのか、まで理解していると握力も高まるね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️