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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
「働き控え」解消は本命ではない
ここの所、「103万円の壁」引き上げの話題で持ち切りです。
これが本当に実現すると生活が大きく変わります。
もちろん、年収103万円以下に抑えようとシフトを調整していた人にとっても大きいですが、それ以上にフルタイムの会社員や個人事業主のメリットが大きいです。
というのも、税金は控除(会社員の場合は103万円+α(人による))を超えた部分に対して掛かり、しかも超過累進課税だからです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、103万円の壁が178万円に引き上げられた(控除が75万円増えた)場合、
今まで課税所得が150万円(所得税はその5%)だった人は75万円(所得税はその5%)に、450万円だった人は375万円になるのですが、後者は税率が20%の部分が減るので、減税額は75万円の20%(実際は住民税(10%)もあるので30%)です。
それに対して、103万円の「壁」というのは実はほとんどの場合、すでに存在しません。
確かに、103万円以下は所得税が掛かりませんが、103.1万円になったところで掛かる所得税は103万円を超えた部分の5%、つまり 1,000円 × 0.05 = 50円 だけです(負担が一気に増えるわけではありません)。
扶養に入れなくなる、という話もこの場合は配偶者控除または扶養控除が受けられなくなる(夫(妻)または親の負担が増える)という意味ですが、前者は配偶者「特別」控除により控除が段階的に減るように考慮されており、
後者も児童手当とバーターになっているため、児童手当が18歳まで拡充された今、実質的に受けられるのは大学生くらいでしょう。
ですので、働き控え解消というのはオマケで、実質は103万円の壁引き上げ=ただの減税、と言っても良いでしょう。
前置きが長くなりましたが、この減税、iDeCo(の出口課税)にも大きく影響するのです。
それが一体なぜなのか、どの程度なのか、というのが今回の話題です。
もともとNISAよりお得な制度だったのに、もっとお得になるのね
「103万円の壁」引き上げ=iDeCo減税の理由
おさらいになりますが、iDeCoは60歳(かつ加入から10年)以降に受け取りが可能になり、その受取り方法として「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3パターンを選べます。
「一時金」は退職所得、「年金」は年金所得扱いとなり、それぞれ控除(退職所得控除・公的年金等控除)を受けることが出来ますが、前者は会社の退職金、後者は公的年金と合算になります。
しかし、厚生年金加入者は大抵の場合、公的年金だけで公的年金等控除額を使い切ってしまいますし、退職所得の場合は退職所得控除額を超えた部分の1/2に対して課税されるというルールがあるため、これまではiDeCoは全て一時金で受け取るのがセオリーでした。
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
退職所得控除額は、次のように計算します。
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁
勤続年数(=A) 退職所得控除額 20年以下 40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)20年超 800万円 + 70万円 × (A – 20年)
ところが、103万円の壁の引き上げによって年金の控除も増え、iDeCoを(年金受け取りで)無税で受け取れる余地が生まれるのです。
しかも、年金の場合、一時金(退職所得)と違って一度だけではなく毎年(受け取り期間中ずっと)なので、その効果はかなり大きいです。
年金の控除をフルに使っても余る場合は、残りの部分を一時金(併用)で受け取ればいいしね
退職控除なしで2000万円まで無税に!?
では、その効果(iDeCoを無税で受け取れる金額)とは、どの程度なのでしょうか。
103万円の壁は178万円まで引き上げ、厚生年金(国民年金分含む)の平均受給月額は約14万4,000円と言われていますから、これで計算してみます。
まず、103万円ですが内訳は「基礎控除(48万円)+給与所得控除(55万円)」です。
これが「基礎控除(123万円)+給与所得控除(55万円)」(178万円)になるという話です。
(つまり、あくまで給与所得(会社員の給料)が前提です)
年金の場合、現在は「基礎控除(48万円)+公的年金等控除(110万円 ※65歳以上の場合)」ですが、「基礎控除(123万円)+公的年金等控除(110万円 ※65歳以上の場合)」に、つまり「158万円の壁」が「233万円の壁」になります(65歳未満は 108万円 → 183万円)。
月額にすると 約13.2万円 → 約19.4万円 ですから、公的年金が14.4万円だと今までははみ出していた所、5万円ほど余るようになり、これをiDeCoに使えるようになります。
iDeCoの年金受け取りの期間は5年以上20年以下ですから、最大で約5万円 × 12ヶ月 × 20年 = 約1,200万円 も無税で受け取れるようになるのです。
さらにおススメなのが公的年金を繰り上げ受給する、という方法です。
(ちなみにiDeCoが無かったとしても繰り上げ受給はおススメです)
これで60歳から受け取るようにすると、公的年金は 14.4万円 × 0.76 = 約10.9万円 になり、iDeCoは65歳開始で月額約8.5万円、20年だとなんと 約2,040万円まで無税になります。
これだけあれば会社の退職金があって、かつ19年ルール(5年ルール)が使えない人も安心だね
繰り下げ受給派にも追い風に
これを聞くと、NISAなら5,000万円でも1億円でも無税だ、と言われるかも知れませんが、iDeCoの出口課税は入口の節税(所得控除)の代償だということを忘れてはいけません。
そもそも税の繰り延べだけでも大きなメリット(払うべき税金を先延ばしにする事で、運用に回して増やしてから払える)なのですが、払う必要すら無くなるとなればそのメリットは計り知れません。
さらに、iDeCoは拠出を停止しても受け取るまで運用は継続するため(運用指図者)、一時金で受け取って現金で置いておく(機会損失)か特定口座に入れて取り崩す(税金が掛かる)よりもお得です。
(NISAから先に使って空いた枠に入れる、という方法もありますが年360万円までです)
唯一、欠点があるとすればiDeCoを年金で受け取ると給付事務手数料として1回の振込につき440円の手数料が掛かることですが、上記のメリットの方がずっと大きいですし、どうしても気になる場合は支給回数を年1回にすれば良いです。
ちなみに、繰り下げ受給も(金銭的には不利なものの)ボケた後の保険(騙し取られる心配がないマネーマシン)が欲しかったり、DIE WITH ZEROをやりたい(資産を使い切って長生きした場合は公的年金のみで生活する)場合はアリなのですが、
こちらも103万円の壁引き上げの恩恵は大きいです。
なぜなら、これまでは繰り下げ受給を行うと控除の枠を大きく超えてしまい、税金や社会保険料(医療費の自己負担割合や高額療養費の自己負担限度額なども含む)で損だったのが、それが軽減したり、場合によっては無くなるからです。
また、この場合も繰り下げ受給を開始するまでの間は、年間233万円(月約19.4万円)の枠をフルでiDeCoに使えるようになります。
このように、「103万円の壁」引き上げはほぼ全員にメリットがありますが、それをより多く享受する方法もあるため、しっかり調べた上で自分にとって最適なものを選びましょう。
少なくともiDeCoはやっておいた方が良さそうね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️