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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋♀️
問題は分けて考えるべし
「分配あり・高配当」は、資産形成期(積み立て中)は効率が悪い、もしくは引退後の人用、という話をよく聞きます。
しかし、これは半分正解で半分間違いです。
まず、「分配あり」と「高配当」は別物で、分配があるから高配当とも、高配当だから分配があるとも限りません。
例えば、ETFならオルカンやS&P500、なんならNASDAQ100でも分配がありますし、楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(通称:楽天VYM)のように高配当なのに分配金が出ない(企業から支払われる配当金をファンド内で再投資する)投資信託もあります。
決まっているのは、ETFなら必ず分配金が(中の配当金の分だけ)出る、投資信託なら分配金が出るものと出ないものがある(中の配当金は関係ない)、という事だけです。
初めに、(高配当かどうかは関係なく)分配あり共通の問題として、NISAの非課税枠と税金の支払いタイミングがあります。
前者は、NISAの生涯投資枠(1,800万円)が簿価(買った時の価格)が基準なのが起因で、再投資する場合、本来なら分配なし(内部で再投資)だろうが、分配あり(自分で再投資)だろうが同じなのですが、NISAでは分配なしだと再投資分は生涯投資枠を消費せずに済む、というメリットがあります。
後者は、特定口座で分配金が出るとその度に税金(20.315%)が掛かりますが、分配なし(内部で再投資)の場合、その場では税金が掛からずに基準価額に上乗せされ、売却時には分配ありよりも(基準価額の値上げ幅が大きくなるぶん)税金が高くなります。
一見するとトータルで同じですが、税金を支払うタイミングは後になる方が、税金分も運用に回してその利益も得られる(そこにも税金は掛かりますが、約8割は手元に残る)ため有利になります(これを「税の繰り延べ効果」と言います)。
NISAでも特定でも再投資するなら分配なしの方がいいのね
高配当株とS&P500・NASDAQ100の差
次に、高配当ですが、こちらの問題は(株価の上昇と配当金を合わせた)トータルリターンに占める配当金の割合です。
このグラフは、高配当株の代表格VYMと今をときめくSCHDの、価格(薄い色)と分配金再投資後の価格(濃い色)、S&P500・NASDAQ100のプライスリターンの指数値(薄い色)とトータルリターンの指数値(濃い色)を、VYMの設定日(200611/10)をそれぞれ100に換算して並べたものですが、
開始時の値(100)からの上昇幅(矢印の長さ)の差を見れば、その割合(分配比率)が分かります(数値にするとこのようになります)。
リターン (全期間) | 期間(年) | リターン (年率) | 分配比率(※) | |
---|---|---|---|---|
S&P500 | 811.17 | 15.03 | 15.84 | - |
S&P500TR | 1,116.56 | 15.03 | 18.09 | 27.35 |
NASDAQ100 | 1,860.79 | 15.03 | 21.90 | - |
NASDAQ100TR | 2,190.27 | 15.03 | 23.17 | 15.04 |
VYM | 484.84 | 15.03 | 12.47 | - |
VYM(分配込) | 830.27 | 15.03 | 16.00 | 41.61 |
SCHD | 534.88 | 12.94 | 15.35 | - |
SCHD(分配込) | 851.39 | 12.94 | 19.01 | 37.18 |
※:リターン(全期間)を、(トータルリターン(分配込)-プライスリターン(分配なし))/トータルリターン(分配込)で計算
このように、高配当株はやはり分配比率が高いのですが、S&P500も意外と高い(S&P500と高配当株の差は、S&P500とNASDAQ100の差とあまり変わらない)ことが分かります。
(ちなみに、SCHDは設定日の関係上、期間が少し短いのですが同じ期間で切り取ってもS&P500とNSASDAQ100の分配比率は上記とほぼ同じ(リターン(年率)は上昇)でした)
ですので、分配金を出すか出さないか、はS&P500でもかなり大きな問題です。
NASDAQ100やFANG+、半導体株などハイテク株中心だと配当利回りが低いものが多いから、あまり気にしなくて良いんだね
二重課税(外国税)問題
また、S&P500やオルカン、米国高配当株なども含めて海外に投資するものは、その配当金に対して外国税(大抵の国では10%)が掛かります。
これは、分配金として受け取ろうが、内部で再投資しようが(再投資前に)掛かりますし、所在国に対して支払うものなので(日本の非課税制度である)NISAも例外ではありません。
さらに、特定口座だと外国税(約10%)を引かれた後に国内の税金(20.315%)も掛かる、という二重課税問題も発生します。
そのため、救済として外国税額控除という、外国税が引かれたぶん、国内の税金を安くしてくれる制度があるのですが、残念ながら分配金が出ない(内部で再投資する)投資信託では使えません。
(税金の支払いが後回しになるのが逆に仇となり、当年単位では二重課税になっていない)
そのため、インデックスファンドの基準価額とトータルリターンの指数を比較すると、中の配当金から外国税が差し引かれる分(もちろん信託報酬を始めとしたコストもありますが)、このようにじわじわと差が広がっていく感じになります。
これが、ETFなどで中の配当金を分配金として受け取って外国税額控除を行うと、(どちらにせよ(ほぼ)20.315%で、外国税は無いのと同然なので)理論上は指数とほどんど同じになるはずです。
特定口座ではETF、という人が一定数居るのはこれが理由なのね
2020年から東証ETFが断然お得に!?
しかし、この外国税額控除ですが、確定申告が必要という最大の欠点があります。
手間だけの話ではなく、人によっては国民健康保険料など、所得に算入されて負担増になるケースもあります(税金が減っても社会保険料が増えたら本末転倒)。
ところが、2020年1月からこれを(確定申告なしで)自動でやってくれる、「二重課税調整」という素晴らしい制度がスタートしました。
しかし、(当たり前ですが)分配なしの投資信託など外国税額控除が不可のものは対象外で、そうでなくても海外ETF(SPYやVOOなど)も含まれていません。
(対象銘柄(なぜか「可能性が高い」という煮え切らない表現ですが)は下記にあります)
東証上場ETF・REIT、JDRの二重課税調整(外国税額控除)について
外国資産に投資を行っている一部の上場ETF・REIT、JDRにつきましては、外国税額控除の制度により、二重課税調整の対象となります。
対象となる銘柄は、外国資産(株式・不動産等)に投資を行い、そこから生じた利益を元に投資家に分配金を支払っている投資信託等です。これらの投資信託等が2020年1月1日以降に支払う分配金については、自動的に二重課税調整が行われます。ただし、対象となる投資信託等をNISA口座で保有されている場合は、国税分は非課税となり、外国との二重課税状態が発生しませんので、本措置の対象とはなりません。
証券税制・二重課税調整(外国税額控除)について | 日本取引所グループ
上場商品のうち、二重課税調整の対象となる可能性が高い銘柄は、以下のPDFファイルからご確認ください。
これを見ると大半が、いわゆる東証ETFと呼ばれる、東証に上場している国内ETF(数字4桁の証券コードで識別)です。
投資信託と同様、有名どころの指数に連動するものは大抵揃っていると思います。
(例えば、S&P500だと下記のようなものがあります)。
運用会社 | 信託報酬 | 設定日 | 二重課税 調整対象 | |
---|---|---|---|---|
上場インデックスファンド 米国株式(S&P500) (1547) | 日興アセット マネジメント | 0.15% | 2010/10/22 | × |
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF (1655) | ブラックロック | 0.15% | 2017/9/27 | 〇 |
MAXIS 米国株式 (S&P500)上場投信 (2558) | 三菱UFJ国際投信 | 0.07% | 2020/1/9 | 〇 |
iFreeETF S&P500 (為替ヘッジなし) (2247) | 大和アセット マネジメント | 0.07% | 2023/5/12 | 〇 |
ちなみに、東証ETFだとS&P500やNASDAQ100の為替ヘッジあり、という珍しい商品もあります(個人的にはあまりおススメできませんが)。
【悲報】1ドル130円台へ~160円台で投資した人の末路~このように、意外と見えない所にも優秀なものがあったりするのでeMAXIS SlimのS&P500かオルカン一択、と思考停止するのではなく、広い視野で見ていきたいですね。
後発のものだと信託報酬も投資信託より安いんだね
それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃♀️