節税のための収入調整がダメな理由~税制改正の危険性について~

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

住民税非課税世帯と源泉分離課税

前回、年間の収入が一定以下の場合、住民税非課税世帯となり、様々な恩恵を受ける事が出来る、というお話をしました。

住民税非課税世帯とは~年金繰上げ受給で対象に!?~

その基準とは具体的には、

(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
   35万円(※1) × (本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円(※2) +10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
   35万円(※1) +10万円

(※1) 基本額:1級地 35万円、2級地 31.5万円、3級地 28万円
(※2) 加算額:1級地 21万円、2級地 18.9万円、3級地 16.8万円

これに、給与の場合は55万円、事業(青色)の場合は65万円、年金の場合は110万円、を加えた額になります。
(厳密には給与の場合は上記の基準(均等割免除額)が107.5万円(+55万円で162.5万円)を超えると控除額が少し上がります)

とは言え、会社員として働きながらこれを満たすのはまず不可能ですし、厚生年金の受給でも超える事が多く、現実的には国民年金受給者(自営業やフリーランスの老後)が多いでしょう。

では、金融資産を作ってFIRE(年金受給開始前に引退)した場合はどうでしょうか?

答えは、金融資産からの収入が何千万だろうが何億だろうが住民税非課税世帯になる場合があるのです。

そのからくりは源泉分離課税制度にあります。

源泉分離課税制度とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するというものです。

源泉分離課税制度|国税庁

この制度で納税した分は、住民税非課税世帯の判定(国民健康保険料・介護保険料・子供の保育料などの計算も同様)に使用される所得に含まれないのです。

年金受給開始前だと所得ゼロ扱いになるのね

源泉分離課税制度

じゃあ、その源泉分離課税制度とは一体何ぞや!?となりますが、証券会社で株や投資信託を買ってる方ならよくご存知の、「特定口座(源泉徴収あり)」がこれに当たるのです。

これを利用して(特定口座で発生した配当・譲渡益収入を)確定申告しなければ、源泉分離課税制度が適用される事になります。

ですので金融資産と言っても、有価証券(株式・債券・投資信託など)である必要があり、例えば不動産の場合は不動産所得となるため確定申告が必要、つまり住民税非課税世帯の判定に使用される所得に含まれます。

当然ですが、FIREした人に年金支給が開始された後も、年金分だけで住民税非課税世帯の基準額を超えなければ住民税非課税世帯は継続になります。
(国民健康保険料だけは、住民税非課税世帯内でも所得に応じて減免率が変わるようになっているため、多少上がるでしょう)

という事は、年金は出来るだけ少なくして、その分、金融資産からの収入(配当・譲渡益)を増やした方がいいと思った方もいるかも知れません。

具体的な方法としては、簡単なものでは年金の繰上げ受給や、会社の近くへの引っ越し(交通費削減)、

ハードルが高いものでは、(年々減っていますが)厚生年金が無い零細企業への転職、もしくは最近増えつつある(勤めていた会社と業務委託契約を結んでの)個人事業主化(フリーランス化)制度の活用もあります。

ただし、これらのような年金を削減する行為は、あまりおすすめ出来ません。

まず第一の理由として、(これをする事によって)収入が上がるわけではないからです。

年金を減らす分、金融資産からの収入を増やしてトータル同じ(結果、税金で得をする)というのが大前提ですから、資産を増やすだけの種銭(収入アップ)が無ければなりません。

もちろん、収入を上げる方法を選んだ結果、個人事業主になるといった場合はこの限りでは無いよ

税制改正のリスク

もう一つの理由としては、今の税制がこの先ずっと続くとは限らない(むしろ数十年のスパンで考えると、改正される確率の方が高い)からです。

これまでの話を聞いて、資産からの収入が何億あろうと、ギリギリで生活しているひとり親世帯などと同じ扱い、という制度に、不公平感を感じた人も少なくないかと思います。

これについては国もちゃんと認識していて、(税制改正を)検討する必要があると議論されています。

こちらにある総務省・個人住民税検討会の配付資料を見るとその事が良く分かります。

その中にこんな記載があります。

税負担の公平性を確保する観点から、金融所得に対する課税のあり方について検討する必要がある。
(中略)
個人住民税だけでなく社会保険料等にも影響を及ぼしていることについては、公平性の観点から課題があると言える。

第1回(令和4年7月15日開催)

また、こちらの資料には過去の税制改正についての年表もあり、実際これまでにも幾度と税制改正が行われていた事が分かります。

一番記憶に新しいのは、平成26年(2014年)に配当・譲渡益ともに税率が10%から20%に引き上げられた事でしょう。
(譲渡益に至っては平成元年まで非課税だったようです)

この平成26年はNISA制度が始まった年でもあるため、今後のNISA拡充(恒久化と非課税枠の拡充)に合わせて再び税率引き上げが行われるのではないか、という説も多く出ています。

低所得者だとほぼNISA枠内で非課税だし、高所得者はNISA枠以上に投資するから、そこから(NISA拡充で減った)税収を補填すれば良い、という考え方です。

この方が政府が目指す一億総株主にも合うわね

住民税非課税世帯の未来

そう考えると将来、住民税非課税世帯の判定にメスが入っても何ら不思議ではありません。

なぜなら、高齢化が進むにつれ住民税非課税世帯も増えて、その分、それ以外の世帯への負担が増えて不公平感が増すからです。

単純に判定基準が引き下げられるのか、源泉分離課税制度を使用した所得も含まれるようになるのかは分かりませんが、いずれにせよ今の基準で考えていると、プランが崩れてしまいます。

住民税非課税世帯に入るために年金を繰上げ受給した場合、受給開始した時点で年金額が決まって一生変わらないため、その後に税制改正があって住民税非課税世帯に入れなくなったとしたら、

その後は死ぬまで、年金は少ないわ住民税非課税世帯に入れない(社会保険料はしっかり取られる)わで、辛い老後生活になってしまいます。

ですので、もし住民税非課税世帯に入りたいのであれば、「繰上げ受給」ではなく、むしろ「繰下げ受給」の方が良いかと思います。

そうすれば基準がどんなに厳しかろうが年金受給開始までは(収入ゼロなので)住民税非課税世帯になりますし、

受給開始後に税制改正があったとしても(もともと住民税非課税世帯に入る想定じゃないので)ダメージが少なくて済みます(収入が多い分、支出が増えても払える)。

極論、たとえ譲渡益が考慮されるようになったとしても、65歳で引退して75歳に年金受給開始する場合、65歳の時に10年間分の生活費を売却して現金で持っていれば66~74歳の間の収入はゼロに出来ます。

タンス預金とかもあるから、現金資産に対しての課税は不可能だろうね

扶養にこだわりすぎるのもNG?

これと同じように、扶養に入るためにあえて年収を抑える、というのも個人的にはイマイチな気がします。

いわゆる、130万円の壁(健康保険の扶養)や103万円の壁(税法上の扶養)と言われているものです。

その世帯にとって最適な働き方をした結果、扶養の範囲内に収まるなら良いのですが、扶養ありきで働き方を決めるのは少し違うと思います。

働く事によってスキルが磨かれたり、信頼度がアップする側面もあり、こういった人的資本を積み上げる機会を(扶養内に抑える事によって)失う事になるからです。

扶養から外れて税金や社会保険料が増えたとしても、それ以上に稼げるようになれば良いですし、単価が上がれば労働時間も少なく済むようになるかも知れません。

人的資本は金融資産と違って数値化出来ないため比較は難しいのですが、増やしておくのは大事な事かと思います。

自力で稼ぐ事が、税制改正に振り回されないためのコツね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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