マイクロ法人二刀流のデメリット~隠れコスト・リスクを暴く~

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

マイクロ法人二刀流のメリットまとめ

前回、自営業・フリーランス(個人事業主)の人が、マイクロ法人と個人事業主の二刀流にする事で具体的にどのくらいお得になるのか検証しましたが、

マイクロ法人二刀流のメリット~いくらお得になるのか徹底検証~

その結果をまとめると、こうなります。

健康保険料(東京都新宿区に在住の場合)
・40歳未満・単身・年収400万円の場合、220,414円
・40歳以上・単身・年収500万円の場合、366,608円
・40歳以上・配偶者(会社員・年収100万)と子供2人・年収500万円の場合、503,308円

年金保険料(東京都に在住の場合)
・単身もしくは配偶者が扶養外(年収130万円以上または社会保険加入)の場合、5,832円
・配偶者が扶養内(年収130万円未満かつ社会保険未加入)の場合、204,912円

税金(法人住民税も加味)
・年収400万円・持ち家の場合、40,000円
・年収400万円・家賃10万円の場合、136,000円

トータルすると(年収や家族構成にもよりますが)年間で 266,246円 ~ 844,220円 もお得という事になります。

ですが、マイクロ法人と個人事業主の二刀流にはデメリットも存在します。

数字上では分からないものが多いので、しっかり掘り下げてみましょう。

美味しい話には裏がある、というやつね

マイクロ法人にかかる費用

まずは分かりやすい所で、マイクロ法人にかかる費用があります。

法人住民税の7万円については上記で加味しているのですが、それ以外に法人税申告書の作成にも費用がかかります。

(マイクロ法人とは言え)個人の確定申告とは比較にならないほど大変ですので、自分で行うには最低でも会計ソフトは必須で、

最近主流のクラウド型では法人の最安プランが税込みで、freee(ミニマム)が年間26,136円、マネーフォワード(スモールビジネス)が年間39,336円となっています。

しかし、これらを使ってもまだまだ手間はかかるので、二刀流にする前(個人事業主のみ)と比較するなら申告書の作成を税理士に代行してもらう(相場は10万~20万程度)前提の方が良いでしょう。

また、法人の設立にも費用がかかり、法定費用(合同会社は6万円、株式会社は20.2万円)以外にも司法書士に任せれば、その代行手数料(相場は5万~10万程度)もかかります(こちらも比較するなら代行前提の方がフェア)。

設立費用は一度きりとは言え、額が大きいから無視できないね

隠れたリスク

こちらは数字上には表れないのですが、二刀流にする事で税務調査に入られる確率が増える、というリスクがあります。

正しく申告していれば関係ないと思われがちですが、(特に経費になるかの判断など)調査官の裁量による所もありますし、

例え申告是認(修正申告・追徴課税なし)になったとしてもメリットは何も無く、単純に調査で丸一日潰れるだけ(労働の機会損失)ですし、精神的疲労も馬鹿にならず、

税理士に立ち会ってもらった場合、費用も発生するので、入られないに越した事はありません。

事業者に実地調査に入る割合(実調率)は、近年のデータ(2012~2016年)から、個人は1.1%(およそ100年に1回)、法人だと3.2%(およそ30年に1回)と言われています。

二刀流だとどちらかに当たる確率は単純計算で4.3%(1 – (1 – 0.011) × (1 – 0.032))になるので二刀流にする前(1.1%)と比べるとかなり高くなります。

新型コロナで一時的に減ったけどまた戻ってきてるみたいね

隠れたコスト

他にも直接は見えないのですが、実は税金の額に大きく関係するものがあります。

それはiDeCoの掛金限度額です。

以前、紹介したようにiDeCoの掛金限度額は国民年金の種類(第1~3号被保険者)などに応じて決まっているのですが、

税制優遇制度(一般NISA・つみたてNISA・iDeCo)とは~限度額比較も~

二刀流にする前(個人事業主のみ)であれば、月額で 6.8万円 だったのが、二刀流にする(社会保険に加入する)と 2.3万円 になってしまいます。

ちなみにこの判定は加入時のみならず常時行われているようで、6.8万円で申請してから(掛金変更せずに)社会保険に加入すると拠出が止められます(付加年金も同様)。

ですので、その差額(月額4.5万円)を運用する事で得られる利益に対する税金分、(仮に同額を特定口座で運用した場合)損をする、という事になります。

ではその利益とは一体いくらなのか?ですが、毎月一定額を積立てる場合の計算はこちらの金融庁の計算機が使いやすいです。

資産運用シミュレーション : 金融庁

想定利回り7%はやや楽観的な数字ではありますが、近年の実績を見れば全米や全世界株式であれば現実的な数字でしょうし、積立期間30年は2022年4月からiDeCoの受け取り開始年齢が75歳まで引き上げられた(現在45歳でも30年は運用出来る)事を考えると妥当でしょう。

これを見ると、運用利益は 3,869.9万円 ですから、これにかかる税金は786.17万円(3,869.9 × 0.20315)となり、これが非課税になるメリットを失うわけですから、

実質、(二刀流にする事で)1年あたり 26.2万円(786.17 / 30)税金が増えるとも言えます(毎月の積立可能額が10.1万円(つみたてNISA 3.3万円+iDeCo 6.8万円)に満たない場合はこの限りではありません)。

さらに、iDeCoの場合、掛金(元本)も小規模企業共済等掛金控除として控除でき、その分受け取る時に税金がかかるのですが、こちらも退職所得控除や公的年金等控除を活用するとかなり抑えられます。

もし、控除をフル活用して非課税にできた場合、元本の 1,620万円 に対してかかる税金 329.1万円(1,620 × 0.20315 ※合計所得が195万円~330万円未満の範囲内の場合)、1年にして 11万円(329.1 / 30)も加わります。

この合計 37.2万円(26.2+11)が二刀流にする事によって発生するコストと考えると、最初のメリットを加味しても(収入や家族構成によっては)あまりお得じゃない、となるかも知れません。

資金拘束されるかどうかの違いもあるから一概には言えないけどね

iDeCoを補う裏技

この隠れコストとも言えるデメリットなのですが、実は相殺できる裏技があるのです。

それは、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。

この言葉を聞くと、(福利厚生がしっかりした)大企業に勤めている会社員しか関係ないようなイメージなのですが、実はマイクロ法人でも導入出来るのです。

一人法人(ひとり社長)でも企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入できるのか?

企業型確定拠出年金は、一人法人であっても、導入が可能です。もちろん、現在iDeCoに加入していても、企業型DCへの移行や併用も可能です。

一人法人でも導入可能 – 株式会社日本企業型確定拠出年金センター

こちらのサイトを見ると企業型DCの掛金の拠出限度は月額 5.5万円となり、会社員のiDeCo(2.3万円)を大きく上回り個人事業主のiDeCo(6.8万円)に肉薄します。
(先ほどの表から、企業型DCに加入している会社員でもiDeCoで月額 2万円まで拠出出来るのですが、企業型DC+iDeCoで月額 5.5万円以内にする必要があります)

また、会社で用意された企業型DCでは、メニューに良い投資商品が無くてむず痒い思いをする、なんて事もよく聞きますが、

マイクロ法人の場合、金融機関(メニュー)も自分で決められるため、最適な商品(全米or全世界株式で信託報酬が低いもの)を選ぶ事が出来ます。

しかし、配偶者を扶養に入れる(二刀流の社会保険料節約メリットが最も多い)場合、配偶者のiDeCoは 2.3万円(第3号被保険者)となるのですが、

この企業型DCに入るためにはマイクロ法人の役員か従業員にしなければならず、そうすると扶養には入れなくなる(社会保険料が上がる)ため、判断が難しい所です。

確実に節約できる方を選ぶか、運用成績次第でもっとお得になる可能性がある方を選ぶか、になるわね

まとめ

こうして見ると、マイクロ法人と個人事業主の二刀流は金銭的なメリットは(トータルでも)結構大きいと言えます。

しかし、先ほど紹介した手間や税務調査リスクの他に、このような法の穴をついた節税策は急に法改正されて出来なくなる事も多く(以前紹介した住民税申告不要制度もその一つ)、

二重課税を取り戻す方法~配当控除・外国税額控除~

そうなると(金銭面のメリットだけでやっている人は、やる意味が無くなり)法人設立の費用や手間が丸損になってしまいます。

ですが、法人化すると(個人事業主と比べて)社会的信用が得られやすいなどの金銭面以外のメリットもあるため、総合的に判断すると良いかと思います。

法人化する事で仕事に対するモチベーションが上がる、という場合もあるね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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