NISAとiDeCoの損得ライン大公開~退職金増税も想定~

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こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

よくある勘違い

投資についてある程度調べると、NISAやiDeCoはやった方がお得、というのは分かると思いますが、実際どの程度お得になるのか、まで把握している人はそう多くはないでしょう。

まず初めに、NISAやiDeCoをやってこれだけ評価損益がプラスになった、みたいな報告がSNSなどで散見されますが、これはあくまで投資をしたことによる結果であって、NISAやiDeCoで得られた恩恵ではありません。

ではこれらで得られる恩恵とは、「節税」だけです。

NISAの場合は単純で、配当金・分配金や譲渡益(運用益)にかかる税金20.315%が非課税になる、というもので、当然これらが無いと恩恵はありません。
(むしろ損失があると、損益通算が出来ないという点で課税口座にも劣る)

iDeCoの場合はかなり複雑で、積み立てる(正確には掛金を拠出する)だけで所得控除があるため、運用益が無かったとしても恩恵は受けられますが、受け取り時の課税があるため、トータルでお得になるのかどうかは条件次第、ということになります。

iDeCoの説明で、NISAと同様に運用益が非課税でかつ所得控除もある、みたいなものをよく見かけますが、これは厳密には間違いで、正確には(所得控除と受け取り時の課税次第で)結果的に運用益分が非課税になる場合「も」ある、というだけです。

今後、退職金(退職所得控除)の増税などで、受け取り時の課税額が増えると、運用益(の一部)が非課税にならないケースも増えてくるでしょう。

退職金増税・年金改悪に備えよ~退職金にも年金にも頼らない~

iDeCoの場合、元本+運用益に対してまとめて課税だから、控除後の課税が元本部分だけで済むのか、運用益の部分まではみ出すのか次第だね

iDeCoの計算方法

では、NISAとiDeCoを使うと実際どのくらいお得になるのか計算してみましょう。

条件を揃えるために、NISAもiDeCoも積み立て額は毎月2.3万円(会社員のiDeCo掛金上限)とします。

iDeCoは所得税率によって所得控除額が変わるので、iDeCoを含めない課税所得を 222.6(195+2.3 × 12)万円 ~ 330万円 の間(iDeCoで減る部分の所得税率は10%)とします。(所得税の計算方法はこちら

実際には、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)と住民税(ほぼ10%固定)が加わりますから、iDeCoに拠出したお金の20.21%、つまり 2.3 × 12 × 0.2021 = 約5.58万円 が拠出時の節税額になります。

次に、受け取り時の課税額です。

こちらは使える控除が、退職所得控除と公的年金等控除なのですが、退職所得控除が超えた分の 1 / 2 が課税対象(しかも社会保険料には影響しない)なのに対して、公的年金等控除は超えた分の全額が課税対象(しかも社会保険料にも影響する)なので、

公的年金等控除を超えない範囲でギリギリまで年金受け取りをして、残りは全て一時金受け取る、というのが(節税という意味では)最適な受け取り方になります。

とは言え、会社員(厚生年金に加入)が普通に年金を受け取った場合、65歳以降の公的年金等控除額(年間110万円)はそれだけで埋まってしまうため、

使えるのは60歳~64歳の間の控除額(年間60万円)だけということになります(公的年金を繰上げ受給する場合はこれも使用不可)。

ですが、iDeCoに加入しつつ公的年金を繰上げ受給するケースはあまり考えられないでしょうから、60~64歳の 60万円 × 5年 = 300万円 と退職所得控除(掛金拠出年数による)を引いたものを 1 / 2 して、

通常の所得と同様に計算した所得税(および復興特別所得税と住民税)が課税額となります(詳しい計算方法はこちらにあります(iDeCoの場合は、勤続年数=掛金拠出年数))。

一時金+年金(併用)で受け取るのね

NISAとiDeCoどちらがお得か

iDeCoの場合、退職所得控除が現在のまま(20年未満は1年あたり40万円、20年以上は1年あたり70万円)だった場合(増税なし)と、悪い方に修正(一律で1年あたり40万円に)された場合(増税なし)では結果が大きく変わるため、両方を想定します。

まず運用後の資産額を計算(こちらの計算機を使用)し、NISAは最終積立金額(元本+運用収益)そのまま、特定口座はそこから「運用収益 × 0.20315」を引いたもの、

iDeCoは、「最終積立金額(元本+運用収益) - 300万円」の退職金手取額(こちらの計算機を使用)+ 300万円 に、所得控除で浮いた分(年間約5.58万円)を同じ利率で特定口座で運用(税金も加味)したものを加えます。
(便宜上、増税あり(一律40%)は勤続年数26年((40 × 30 – 800) / 70 + 20 = 25.714 なので少しズレますが) で計算しています)

その結果、30歳から60歳まで30年間積み立てた場合、想定年利回りごとの実質の手取りは以下のようになります。

想定年利回り特定口座NISAiDeCo
(増税なし)
iDeCo
(増税あり)
0%828万円828万円
(0万円)
995万円
(+167万円)
995万円
(+167万円)
3%1,236万円1,340万円
(+104万円)
1,590万円
(+354万円)
1,590万円
(+354万円)
6%2,009万円2,310万円
(+301万円)
2,675万円
(+666万円)
2,640万円
(+631万円)
9%3,524万円4,211万円
(+687万円)
4,553万円
(+1,029万円)
4,492万円
(+968万円)
11%5,308万円6,450万円
(+1,142万円)
6,627万円
(+1,319万円)
6,555万円
(+1,247万円)
12%6,574万円8,038万円
(+1,464万円)
8,067万円
(+1,493万円)
7,995万円
(+1,421万円)
30歳から60歳まで月2.3万円を積み立てた場合の手取り(特定口座との差額)

こうして見ると、退職所得控除が改悪しても実際に影響が出るのは想定年利回りが6%以上の場合だけで、iDeCoよりNISAの方がお得、となるには利回りが12%以上と、かなり限定されるようです。

さらに、30年でこれですから、20年であればほぼiDeCoの方がお得、と言っていいでしょう(退職所得控除改悪の影響もなし)。

しかもこれは、NISAのみ・iDeCoのみを想定しているため、併用(iDeCoの所得控除で浮いた分をNISAで運用)すればさらにお得になると思います。

会社員ならiDeCoの優位性は揺るがなそうだね

個人事業主(月6.7万円)の場合

では、個人事業主の場合はどうでしょうか。

先ほどは会社員のiDeCo掛金上限(月額2.3万円)でしたが、個人事業主の場合は月額6.8万円まで拠出が出来るため、これで比較してみましょう。

実際は付加年金(月400円)を納めている人が多いと思いますので月6.7万円で、先ほどと同じように30歳から60歳まで30年間積み立てた場合、以下のようになります。
(先ほどと同様、iDeCoを含めない課税所得は275.4(195+6.7 × 12)万円 ~ 330万円 の間(iDeCoで減る部分の所得税率は10%、年間の所得控除額は約16.25万円)とします)

想定年利回り特定口座NISAiDeCo
(増税なし)
iDeCo
(増税あり)
0%2,412万円2,412万円
(0万円)
2,848万円
(+436万円)
2,807万円
(+395万円)
3%3,601万円3,904万円
(+303万円)
4,329万円
(+728万円)
4,268万円
(+667万円)
6%5,853万円6,730万円
(+877万円)
6,945万円
(+1,092万円)
6,874万円
(+1,021万円)
7%7,003万円8,174万円
(+1,171万円)
8,254万円
(+1,251万円)
8,183万円
(+1,180万円)
8%8,447万円9,985万円
(+1,538万円)
9,893万円
(+1,446万円)
9,814万円
(+1,367万円)
9%1億264万円1億2,266万円
(+2,002万円)
1億1,903万円
(+1,639万円)
1億1,824万円
(+1,560万円)
30歳から60歳まで月6.7万円を積み立てた場合の手取り(特定口座との差額)

この場合、想定年利回りが0%の時点から退職所得控除が改悪した場合の影響があり、NISAがiDeCoを追い抜くのは利回りが8%以上の場合になります。

iDeCoは元本部分で控除を使い切って運用益全てに税金が掛かる事になり、20.315%固定ではなく超過累進課税(利益が多いほど税率が高い)になるため、利回りによってはNISAどころか特定口座にも負けるんじゃないか、という懸念もありましたが、

蓋を開けてみれば、特定口座には圧勝、NISAにも善戦、という結果になりました。

これも、所得控除の恩恵が積み立てている最中から受けられる(その分、運用に回して増やせる)おかげかと思います。

とは言え、資金ロックとのトレードオフであるため、お得になる金額がそれに見合わないと思う方は、お得と思えるラインにまで拠出額を調整するのも良いかも知れません。

会社員の場合はあまり気にしなくても良さそうね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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