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お金

高額療養費の引き上げについて~サイレント増税!?~

2025年2月23日

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

「高額療養費制度」の上限額の引き上げ

先日の金融所得課税に引き続き、今度は「高額療養費制度、負担上限額(自己負担限度額)を引き上げ」というニュースが飛び込んできました。

しかも、こちらはほぼ確定で、2025年8月と2026年8月、2027年8月の3回に分けて段階的に引き上げられることまで決まっています。

引き上げ後の金額はこの通りです。

所得区分(現)~2025年7月(現行)2025年8月~2026年7月所得区分(新)2026年8月~2027年7月2027年8月~
年収約1,160万円~
健保:標報83万円以上
国保:所得901万円超

※所得:旧ただし書き所得 =
総所得金額-住民税基礎控除額
(43万円)(以下同じ)
252,600+(医療費-842,000)×1%
<多数回該当:140,100>
290,400+(医療費-968,000)×1%
<多数回該当:161,100>
約1,650万円~367,200+(医療費-1,224,000)×1%
<多数回該当:203,700>
444,300+(医療費-1,481,000)×1%
<多数回該当:246,600>
約1,410~約1,650万円325,200+(医療費-1,084,000)×1%
<多数回該当:180,300>
360,300+(医療費-1,201,000)×1%
<多数回該当:199,800>
約1,160~約1,410万円290,400+(医療費-968,000)×1%
<多数回該当:161,100>
290,400+(医療費-968,000)×1%
<多数回該当:161,100>
年収約770~約1,160万円
健保:標報53万~79万円
国保:所得600万~901万円
167,400+(医療費-558,000)×1%
<多数回該当:93,000>
188,400+(医療費-628,000)×1%
<多数回該当:104,700>
約1,040~約1,160万円220,200+(医療費-734,000)×1%
<多数回該当:122,400>
252,300+(医療費-841,000)×1%
<多数回該当:140,100>
約950~約1,040万円204,300+(医療費-681,000)×1%
<多数回該当:113,400>
220,500+(医療費-735,000)×1%
<多数回該当:122,400>
約770~約950万円188,400+(医療費-628,000)×1%
<多数回該当:104,700>
188,400+(医療費-628,000)×1%
<多数回該当:104,700>
年収約370~約770万円
健保:標報28万~50万円
国保:所得210万~600万円
80,100+(医療費-267,000×1%
<多数回該当:44,400>
88,200+(医療費-294,000)×1%
<多数回該当:48,900>
約650~約770万円113,400+(医療費-378,000)×1%
<多数回該当:63,000>
138,600+(医療費-462,000)×1%
<多数回該当:76,800>
約510~約650万円100,800+(医療費-336,000)×1%
<多数回該当:55,800>
113,400+(医療費-378,000)×1%
<多数回該当:63,000>
約370~約510万円88,200+(医療費-294,000)×1%
<多数回該当:48,900>
88,200+(医療費-294,000)×1%
<多数回該当:48,900>
~年収約370万円
健保:標報26万円以下
国保:所得210万円以下
57,600
<多数回該当:44,400>
60,600
<多数回該当:46,500>
約260~約370万円69,900
<多数回該当:47,400>
79,200
<多数回該当:48,300>
約200~約260万円65,100
<多数回該当:46,800>
69,900
<多数回該当:47,400>
~約200万円60,600
<多数回該当:46,500>
60,600
<多数回該当:46,500>
住民税非課税35,400
<多数回該当:24,600>
36,300
<多数回該当:25,200>
住民税非課税36,300
<多数回該当:25,200>
36,300
<多数回該当:25,200>

高額療養費の自己負担限度額(70歳未満)(高額療養費制度の見直し(厚生労働省)を元に作成)

年収(標準報酬月額または所得)に応じて、1ヶ月間で支払う医療費の合計に上限が設けられているのですが、これが徐々に引き上げられていくことが分かります。

また、大きな特徴として、2026年8月以降は所得区分が、(住民税非課税は除いて)3つずつに細分化され、それぞれ一番下のみが据え置き(それ以外は引き上げ)になっています。

さらに、直近12か月間で高額療養費の適用が3回あった場合、4回目以降から適用になる限度額(多数回該当)についても引き上げられます。

これが、世間で騒がれている負担増の正体ね

高所得者ほど負担大、は本当なのか

どのニュース記事を見ても、年収〇〇〇万円の人は〇万円アップなどのように引き上げ「額」を見て、高所得者ほど負担増が大きい、としています。

しかし、これは当然の話で、たとえ所得に対する割合がどの所得でも一定(率)だとしても、その数字が上がれば所得が多いほど増える金額は大きくなります。

さらに、実際は所得税のように所得が多い人ほど負担率は大きくなるはずです。

そう考えると、引き上げ「額」ではなく、(同じ所得区分の前年比の)引き上げ「率」で見た方が分かりやすいと思います。

その結果がこちらです
(上段が通常の上限額(1%を掛ける部分は割愛)で、下段(<>内)が多数回該当です)

所得区分(現)2025年8月~
2026年7月
所得区分(新)2026年8月~
2027年7月
2027年8月~
年収約1,160万円~
健保:標報83万円以上
国保:所得901万円超
14.96%
<14.99%>
約1,650万円~26.45%
<26.44%>
21.00%
<21.06%>
約1,410~
約1,650万円
11.98%
<11.92%>
10.79%
<10.82%>
約1,160~
約1,410万円
年収約770~
約1,160万円
健保:標報53万~79万円
国保:所得600万~901万円
12.54%
<12.58%>
約1,040~
約1,160万円
16.88%
<16.91%>
14.58%
<14.46%>
約950~
約1,040万円
8.44%
<8.31%>
7.93%
<7.94%>
約770~
約950万円
年収約370~
約770万円
健保:標報28万~50万円
国保:所得210万~600万円
10.11%
<10.14%>
約650~
約770万円
28.57%
<28.83%>
22.22%
<21.90%>
約510~
約650万円
14.29%
<14.11%>
12.50%
<12.90%>
約370~
約510万円
~年収約370万円
健保:標報26万円以下
国保:所得210万円以下
5.21%
<4.73%>
約260~
約370万円
15.35%
<1.94%>
13.30%
<1.90%>
約200~
約260万円
7.43%
<0.65%>
7.37%
<1.28%>
~約200万円
住民税非課税2.54%
<2.44%>
住民税非課税
高額療養費の自己負担限度額(70歳未満)(前年比)(高額療養費制度の見直し(厚生労働省)を元に作成)

2025年8月の改正では、順当に所得が多くなるほど引き上げ「率」も高くなるのですが、2026年8月と2027年8月では、年収約650~770万円(健保:44~50万円、国保:410~600万円)のゾーンが意外にも一番高いことが分かります(多数回該当も同様)。

これは恐らく、このゾーンの人がこれまでギリギリ80,100円<44,400円>で済んでいた(少しでも上がると2倍以上(167,400円<93,000円>)になる ※その上のラインは1.5倍程度)、ということで、本来より安すぎた分が是正されるだけと言っても良いでしょう。

また、2026年に限らず2027年も高いのは、一気に上げると負担増感が大きいため、2回に分割した(2027年8月時点で本来のあるべきバランスになる)のだと思われます。

そういった意味では、この所得区分の細分化は「不公平感を無くす」という意味では良い改正なのかも知れません(複雑ではありますが)。

というわけで、結論としては高所得者ほど負担大なのですが理由は多くの記事とは違います。

「〇〇万円の壁」みたいになりにくくなるのは良いね

メリットの方が大きい!?

また、これも多くの記事やSNSなどで、数字ばかりに目が行って全体が見えていないパターンが良くあります。

まず1点目が、インフレです。

昨今、ほぼ全てと言っても良いほど物の値段が上がっており、それは民間だとサービスも例外ではありません。
(有名どころでも、Amazonプライム・YouTubeプレミアム・iCloud+が値上げされました)

また、(中小企業はまだまだですが)大企業では賃上げも始まっています。

これはすなわち、お金の価値が減っている、ということです。

例えば、年収550万円の人の高額療養費は今は80,100円ですが、3年後の80,100円は価値が違う(もう少し安い)はずです。

それでも、1年ごとに +10.11%、+14.29%、+12.50% は大きいですが、これまでの蓄積分を考えると致し方ないのかも知れません(2028年以降も、しばらく改正されないでしょうし)。

そして2点目が、保険料です。

当然ながら、この高額療養費(の自己負担限度額を超えた部分)の財源は我々が支払っている健康保険料(国民健康保険料)です。

つまり、高額療養費の引き上げによって、保険料は安く済むようになる、ということです。

実際、試算では平均で健康保険料が年間で約2,500円、国民健康保険料が年間で約1,500円ほど安くなるそうです。

たったそれだけ!?と思うかも知れませんが、インフレ下においては上がらないだけでも安くなっているのに等しいのです。

確かに、給料が増えて保険料がそのままなら、手取りは増えるわね

「何もしない」という増税を見逃すべからず

ということで、今回の「高額療養費制度、負担上限額(自己負担限度額)を引き上げ」については(特に現役世代は)騒ぐような事では無いのですが、

逆にインフレ(物価高)なのに改正しない(現状維持のまま)、という「サイレント増税」の方に注目すべきだと思います。

例えば、控除の金額です。

物価が上がって給料も上がっている(お金の価値が減っている)のに、控除がずっと同じ金額のままという事は、超えた分に税金が掛かっていることを考えると、給料に対する控除の割合が低くなる=税率が上がる=負担増になる、のです。

基礎控除や給与所得控除などは当然ながら、本来なら所得税率が5→10%に、10→20%に上がる所得金額も見直されるべきだと思います。

目に見える数字で分からない上に、少しずつなので実感もできず、改悪という「行為」をしていないため、どうしても見落としてしまいがちですが、声を上げていきたい所です。

また、自分でできる対策をしておくのも大事でしょう。

NISAやiDeCoなど、貯蓄を手助けしてくれる優秀な制度もありますから、積極的に活用していきましょう。
(対策方法は、金融所得課税の引き上げのように「目に見える」増税と同じです)

金融所得課税が30%に増税!?~増税後の社会を生き抜くには~

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iDeCoは特に節税効果が高くておススメだよ

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️


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