順序リスクとは~4%ルールはなぜ4%なのか~

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

なぜ4%なのか

前々回、前回とインデックス投資(全米or全世界株式)の運用益を計算するのに想定利回り(年率)を6~7%とし、それは過去の実績を見れば現実的な数字だとお話しました。

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しかし、ここで疑問なのが、かの有名な研究(トリニティスタディ)による「4%ルール」です。

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これは4%ずつ資産を取り崩しても(その間にも残りが運用されているため)ほぼ死ぬまで資産が尽きない事は無い、というものですが、

この理屈で言うと6~7%で取り崩しても(増えるスピードと同じなので)相殺して減らないはずなのに、なぜ4%なのか?という疑問です。

その答えは、「順序リスク」があるから、です。

確かに、長期間で平均すると6~7%に収まるかも知れませんが、実際には利回りは高い年もあれば低い年もあります。

しかし、問題はその「順序」なのです。

利回りが高い年と低い年の順序??

順序リスクとは

まずはこちらの例をご覧ください。

老後資金として引退時に2,000万円(分の資産)があるとして、それを毎年、年初に200万円ずつ取り崩すとします。

毎年のリターンが、

1年目:+6% 2年目:+5% 3年目:-2% 4年目:-4% 
1年目:-4% 2年目:-2% 3年目:+5% 4年目:+6%

だった場合、どちらも同じく平均+5%(順序が違うだけ)なのですが、5年目に残っている資産は、前者が1,307万円、後者は1, 232万円と、なんと75万円も差が付くのです。

この原因は、資産が多い時にマイナスになるとそれだけ目減りする額が多い(掛け算の元が大きいため)のに対し、取り崩し後にプラスになったとしても増える額が少ない(掛け算の元が小さいため)からです。

要するに、引退して間もない頃に〇〇ショック(近年ではコロナショックやリーマンショック)などで株価が低迷する時期が来てしまうと、想定していた以上に資産が持たなくなってしまうのです。
(その後、反発して回復、元より上昇したとしても減った分を取り戻せない)

では、これに対する対処法は?というとそれは、「定率」取り崩し、です。

先ほどのトリニティスタディの4%もそうなのですが、一般的にはこの率は引退時の資産額に対するパーセンテージを指します。

2,000万円であれば80万円(2000 × 0.04)、5,000万円であれば200万円(5000 × 0.04)、決まった額を毎年取り崩すルールで、これは(%という表記ではありますが)「定額」取り崩しです。

対して、「定率」取り崩しでは、(その時点で)残っている資産の〇〇%を取り崩すのです。

つまり、5,000万円を4%、定率で取り崩す場合の取り崩し額は、1年目は同じく200万円なのですが、2年目資産が増えて5,500万円になっていれば220万円(5500 × 0.04)、3年目資産が減って4,500万円になっていれば180万円(4500 × 0.04)となります。

ちなみに、この定率取り崩しで2,000万円を10%ずつ取り崩した場合、先ほどの後者のパターン(開始後すぐにマイナスになる)でも、5年目に残っている資産は1,374万円と、定額取り崩しと比べて142万円も多くなるのです。

積み立ては定額、取り崩しは定率、が良いと言われているね

定率取り崩しを行うには

しかし、この定率取り崩しにはいくつか問題があります。

まず、一番大きな問題として、取り崩す額が毎年(毎月)変わる、という事があります。

高齢になれば特に、生活水準(生活費)を下げるのはハードルが高くなってきますし、出来るだけ安定した生活を望みたいものです(だからこそ老後2000万円問題があるとも言えます)。

この対策としては、ある程度まとまった現金を用意しておくと良いです。

こうする事で、取り崩し額が小さい年(月)はその現金から補填する事が出来ますし、逆に取り崩し額が多い年(月)は余ったお金を取っておいて次に下がった時に備えられます。

そういう意味では、取り崩し開始直後に暴落しても補えるだけの現金があれば、4%ルールは6%ルールなどに出来るのかも知れません(現金化した分、パーセントを掛ける元の資産額は減りますが)。

さらに、もうひとつ、iDeCoや小規模企業共済と相性が悪い、という問題もあります。

iDeCoは原則60歳以上でないと引き出せず、小規模企業共済も20年以上積み立てないと元本割れするため、そもそも、老後(引退後)の資金として積み立てるのが大前提です。

これらは受け取り方法として、「一時金(一括)」「年金(分割)」「一時金(一括)と年金(分割)の併用」から選べるのですが、この取り崩し方法を行う場合、年金(または年金が多めの併用(配分は自由に決められる))を選ぶ必要があります。

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年金の場合、年数を5~20年の間で、1年あたりの振込回数を1~6回で選べるようになっていますが、毎年の受け取り額は均等にする必要はなく、年ごとに変える事が出来ます(上限は受け取り開始時点の資産額の50%)。

ですが、これはあくまで受け取り「額」ですので、これで定率取り崩しを行うには、毎年自分で計算して受け取り額を決めて変更の届出をする必要があり、高齢になると思考能力が衰える事を考えると、現実には難しいかも知れません。

定率取り崩しの受け取り方法があれば良いのにね

税金の問題

さらにこのiDeCoや小規模企業共済、税金を考えると「一時金(一括)」受け取りが一番良い、という結論になってしまうのです。

iDeCoや小規模企業共済は受け取り時に税金がかかるのですが、一時金の場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金等控除が適用されます。

これらについては、下記の国税庁のサイトで詳しく記載されています。

退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職金を受け取ったとき(退職所得)

公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。

公的年金等の課税関係

細かい話は置いといて重要なのは、退職所得控除(一時金の場合)は控除額を超えた分も2分の1に対して課税、公的年金等控除(年金の場合)は控除額を超えた分は全額が課税対象になる、という事です。

さらに、公的年金等控除額は年間で110万円(65歳未満は60万円)しか無く(厳密には収入が増えると少しだけ上がりますが)、公的年金や企業年金と合算したものに対して適用になるため、

特に会社員の場合、厚生年金だけで控除枠を使い切ってしまう事がほとんどで、iDeCoや小規模企業共済の受け取り分は全て課税対象になってしまいます。

さらにこれを受け取る事で所得が増えるため、毎年の国民健康保険料(介護保険料含む)も上がってしまうのです(会社員であっても、ごく一部の健康保険組合を除いて、退職後は国民健康保険になる)。
(これに対して一時金なら社会保険加入(2年間の任意継続含む)中に受け取れば保険料は上がらないですし、国民健康保険であっても保険料の年間上限があるため年金よりお得)

この事もあり現状、iDeCoでは9割以上の人が、「一時金(一括)」受け取りを選択しているそうです。

合理的な方法を選ぶと税金で損をする、という悲しい現実だね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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