小規模企業共済・経営セーフティ共済~節税=お得とは限らない!?~

こんにちは〜🌤️おりおりです🙋‍♀️

実は会社員でも加入できる!?

前回まで、自営業・フリーランスの節税策として、マイクロ法人と個人事業主の二刀流についてお話してきましたが少々、手間やリスクが大きいものでした。

マイクロ法人と個人事業主の二刀流~自営業・フリーランスの節税策~
マイクロ法人二刀流のメリット~いくらお得になるのか徹底検証~
マイクロ法人二刀流のデメリット~隠れコスト・リスクを暴く~

今回紹介するのはそれと比べて、簡単に導入でき、リスクもほぼ無いものになります。

それは、小規模企業共済経営セーフティ共済です。

これらは、iDeCoのように将来に備えて自分で積み立てを行い、その掛金が所得控除される、というもので、それぞれiDeCoとは完全に別枠で同時に行うことが出来ます。
(対して、国民年金基金はiDeCoと合計して限度額以内である必要がある、いわば枠を食い合う関係です)

税制優遇制度(一般NISA・つみたてNISA・iDeCo)とは~限度額比較も~

名前を見ると中小企業向けのように見えますが、小規模企業共済・経営セーフティ共済どちらも、個人事業主・法人(マイクロ法人含む)どちらでも加入出来ます。

ちなみに、(あまり知られていませんが)実は副業を行っている会社員でも加入が出来ます。

ただし、どちらも副業が事業所得である必要があり、それに加えて、経営セーフティ共済は会社員として行う仕事と副業の事業が異なっている、小規模企業共済は加入時に正社員として雇用されていない状態である事、が条件となります。

特に経営セーフティ共済は(後ほど詳しく説明しますが)控除ではなく経費扱いなので、例え副業の収入より多く払ったとしても給与所得側から差し引いて(損益通算して)節税が出来るため、かなり有効な制度かと思います。

でも美味しい話には裏があるんでしょ?

小規模企業共済について

まず小規模企業共済ですが、サラリーマンの退職金制度に代わるような役割を果たす制度です。

小規模企業の経営者や役員の方が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる「小規模企業共済制度」。掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れもできる、おトクで安心な小規模企業の経営者のための「退職金制度」です。

小規模企業共済

掛金は月7万円を限度として、1,000円から500円単位で自由に選択することができ、加入後も自由に増額・減額が可能です。

掛金はiDeCoと同様、小規模企業共済等掛金控除として所得控除が行えますが、控除なので当然、事業所得の額までが限度(赤字になっても他の所得と損益通算したり翌年以降に繰り越しは出来ない)となります。

そして受け取りは退職・廃業時で、iDeCoと同様「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができ、一括の場合は退職所得控除、分割の場合は公的年金等控除が使えます。

ちなみに、退職所得控除額は掛金拠出年数に応じて決まるのですが(超えた分も1/ 2にはなりますが)、iDeCoの一時金を先に受け取り、小規模企業共済の一時金を後から受け取った場合、

その間を5年以上空けると合算ではなくなるため、退職所得控除がiDeCoと小規模企業共済の両方に使えます(逆に小規模企業共済を先に受け取ると20年以上空けないと合算の対象になってしまいます)。

iDeCoと違い、年齢による制限はありませんが(60歳未満でも廃業すれば受け取れる)、掛金納付が12ヶ月以上である必要があります(240ヶ月(20年)以上であれば任意解約も可能です(元本割れしない))。

また小規模企業共済には貸付制度があり、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利で利用することも出来ます。

会社の退職金がある場合も、iDeCoを先に受け取って5年以上空けるとお得だよ

経営セーフティ共済について

次に経営セーフティ共済ですが、こちらは取引先が倒産してしまった際に巻き込まれて連鎖倒産したり、経営難になったりすることを防ぐための制度です。

自身の会社経営が健全でも、「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済は、そのような不測の事態に直面された中小企業の方々が、必要となる事業資金を速やかに借入れできる共済制度です。

経営セーフティ共済

掛金は月20万円を限度として、5,000円から5,000円単位で自由に選択することができ、(小規模企業共済と同様)加入後も自由に増額・減額が可能です(ただし、積立の合計額は800万円まで)。

ちょっとした裏技ですが、翌年の1年分をまとめて前納する事も出来るため、1~11月は今年分を月払い、12月は翌年分を年払いする事で、年間最大460万円(20 × 11+240)まで拠出できます。

こちらは小規模企業共済とは違い、掛金は所得控除ではなく経費になりますので、(赤字の場合)他の所得と損益通算したり翌年以降に繰り越しもでき、年収(所得控除を含まない)で計算される料金(国民健康保険料や保育料など)も安くできます。

受け取りは一括のみで、いつでも行う事が出来ますが、元本割れしないのは掛金納付が40ヶ月以上から(12ヶ月以上からは掛金総額の8割以上が戻る)になります。

ただし、この時返ってくるお金(解約手当金)は受け取った年の事業所得となりますので、税金がかかります(小規模共済と違って控除が無い)。

しかしこれには裏技があり、法人で経営セーフティ共済に加入し、その法人を廃業(解散)した場合は、個人の退職金として受け取れるため、退職所得控除が使えます。

こちらも小規模企業共済と同様、貸付制度もあります(むしろ本来はこちらがメイン(?))。

返済期間が1年と短いから、急に資金が必要になった場合に、金融機関からの融資が下りるまでの繋ぎなどに使う感じかな

見えない落とし穴

この小規模企業共済と経営セーフティ共済なのですが、どちらも長く加入する事で平均利回り1%~2%程度のリターンも得られます。

元本保証型としてはこのリターンは破格と言っても良く(iDeCoでも元本保証型の商品を選べますが、利回りは0.01%程度しかありません)、掛金の節税メリットもあるわけですから、加入しない手は無い、と思われるかも知れません。

しかし、以前紹介した名著「ウォール街のランダムウォーカー」にもあるように、長期で運用する事が前提ならインデックス投資でもほぼプラスになり、期待値は1%~2%どころではありません。

NISA vs つみたてNISA、どちらが良いか?~徹底比較~

要するに、小規模企業共済か経営セーフティ共済の掛金にするお金があるのなら、(例え、すでにNISA枠を使い切っていて、非課税にならないとしても)そのお金でインデックス(全米または全世界株式)投資を行った方が良いのでは?という事です。

ここで登場するのが、前回も使用した金融庁のシミュレーションサイトです。

資産運用シミュレーション : 金融庁

インデックス投資の想定利回りを6%、小規模企業共済or経営セーフティ共済を2%とすると、その利回り差は4%となりますので、これで毎月7万円(小規模企業共済の限度額)積み立てたとすると、

30年で運用利益が 2,338.3万円 になるわけですから、税引き後でも 1,863.2万円(2,338.3 × (1 – 0.20315))、1年あたり62.1万円(1,863.2 / 30)の利益がある事になります。

対して、小規模企業共済か経営セーフティ共済に積み立てた場合の節税額は、84万円(7 × 12)ではなく、そこに掛かる税金ですので、

合計所得が330万円~695万円の場合、25.6万円(84 × 0.3042)となります。

つまり、25.6万円 節税するために 62.1万円 の利益を得る機会を失っている事になるのです。

しかもこれは受け取り時の税金が一切かからない(全て控除出来る)事が前提ですので、実際の節税額はさらに少なくなります。

さらに小規模企業共済の場合、国民健康保険料は、掛金拠出時に減らせないのに、受け取り時に(所得が増える事で)余計に払う事になりますし、経営セーフティ共済はそもそも(例外を除いて)受け取り時に控除出来ません。

投資機会の損失がデメリットというわけね

経営セーフティ共済は場合によってはアリ!?

ただし、経営セーフティ共済については、いつでも(40ヶ月以上なら元本割れなしで)受け取る事が出来、その後また新たに積み立てる事も出来たりと、自由度が高いため、所得を均等化出来る、というメリットがあります。

みなさんご存知の通り、所得税には累進課税が採用されており、所得が多ければ多いほど税率が高くなるため、上乗せされる所得が同じであっても、元の所得によって税金が変わってきます。

ですので、これを利用して所得が多い年に掛金拠出を行い、所得が少ない(特に赤字になる)年に受け取る事で、トータルでかかる税金を抑える事が出来るのです。

そう考えると、動かせる金額が大きい事(年間最大460万円)も相まって、年ごとに収支が大きく変動するような業種の場合は、経営セーフティ共済を上手く活用すれば、インデックス投資のリターンより大きな節税効果を生める可能性はあります。

会社員でも役職定年などで大きく年収が落ちる事が分かっている場合は、副業+経営セーフティ共済で対策しておくという手もあるね

それでは皆様、よきフィットネスライフを〜🏃‍♀️

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NISAはSBI証券、iDeCoはマネックス証券がおススメです

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